ガウンの合わせを開いて、夜着の前ボタンを次々と外す。そんな彼女の様子をじっと眺めながら、キースは甘く溜息をついた。 「おまえは本当に、私を待たせたり我慢させたりすることが大好きみたいだね」 「そんなつもりは、ありません」 来なくなったのは彼のほうであり、拒否した覚えは一度もない。 「我慢をさせたかったのは、キース様ではないんですか?」 「ふぅん、おまえは我慢をさせられていると感じていたんだ」 「違うんですか?」 「違うけど」 彼女を背後から抱きしめたまま、キースはリディアの膨らみを揉み始める。 「ん……っ」 「……あぁ、リディア……柔らかいね」 胸の感触を楽しむようにして揉みしだかれると、最奥部は火がついたように疼き始める。 「今夜は、我慢しないよ」 「は、はい」 「握って」 手を取られて、もうすでに立ち上がっている彼の陰茎を握らされた。 十分な大きさや硬さになっている男性器に触れた瞬間、リディアの身体がぞくぞくとしてしまう。 彼の指が裂け目に滑り込んできてしまえば、急かされるような感覚が強まった。 「あ、あぁ……」 「ん……濡れている……早いけど、もう挿れるよ」 「……はい」 ソファの上でうつぶせにされて、背後からゆっくりと彼の身体がリディアの中に埋め込まれていく。 「ん、ふ……ぁ」 濡襞と陰茎が擦れ合うことで生まれる愉悦に、腰が痺れた。 ゆっくりゆっくり内部を犯されていく感覚に息が乱され、余裕がなくなっていく。 「キース様……す、き」 「ああ、愛しているよ」 愛の言葉を囁かれてしまえば、求めたい気持ちが爆発的に膨らんだ。 どうして。 自分は彼を好きだけど、彼は自分を見ていない。 それが苦しくて堪らなかった。「愛している」と言葉だけ与えられていることが我慢出来なかった。 「愛して……ま、す……愛しています」 「リディア……凄いね、締め付けられる。そんなに欲しいのか」 「あ、あぁ……欲し、い……です」 「いいよ、ほら……奥まで貫いてあげる」 ぐぐっと奥まで挿入されればそれだけで目の前に火花が散るような快感が生まれた。 「や……ぁ、あああっ」 「凄い、中が動いている……ぎゅうぎゅうと私を締めているの、判るか?」 「は……っ、あ……キース様……あぁ……もっと、欲し……」 わなわなと震えている彼女の身体を抱きしめて、キースは笑った。 「ん……リディア、私も欲しいよ……動くからね」 抜き差しを繰り返したり、彼女の内壁を楽しむように弧を描くようにしたりして腰を使っては、キースはリディアの反応を気にした。 「あっ……あぁ、あ……ん」 大袈裟に抜き差しをされると、淫猥な水音が結合部分から立たされた。 抜けるか抜けないかまで引き出され、一気に貫かれれば膨らみきった欲望の前ではひとたまりもなくなってしまう。 快楽は欲しい。 もっともっとと際限なく求めたくなる。 けれど、欲しいものは快楽以上にキースの存在だった。 傍にいて、形だけではなくちゃんと愛して欲しい。 「す、き……なの……あなたが」 「んー……何、リディア聞こえなかったよ。もう一度言いなさい」 「好きなの……キース様が」 「"どうして"?」 「わ、かんな……」 涙が溢れた。 行き場のなくなった感情が、溢れるように涙となって落ちていく。 頭の中が、霧がかかったようになっていくけれど、彼が恋しくて堪らないと感じる部分はやたらとクリアで、まるでそのことだけが真実だと彼女に教えるように、乱れた意識のなかではっきりとしていた。 愛しい、恋しい。キースへの思いばかりが溢れ出す。 彼が別の誰かを愛していてもキースが欲しいと心が騒いでいた。
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