「疑い深い姫様だな」 「すみません。でも、本当に私のどこがキース様に好かれているのか判りません」 「そういうことか……じゃあ、リディア」 ずるりと内部から陰茎を引き出して彼はソファに深く腰掛けた。 「ここを綺麗にしてくれないか」 彼が指さしているのは男性器で、何を言われているのか理解出来ずにいると、キースは妖艶に微笑む。 「おまえの口で、体液で濡れてしまったペニスを綺麗にしてと私は言っているよ」 「口で、ですか?」 「ああ、そうだ」 どうしてそういう話の流れになっているのかも彼女には判らなかったが、ソファから降りて、キースの前で跪く。 「な、舐めればいいんでしょうか」 「そうだね」 一度ごくりと唾を飲み込んでから、意を決したようにリディアはキースの陰茎についた液体を舐めていく。 「いい子だね、おまえのそういう従順なところがとても好きだよ」 (従順なところが好き?) 自分は従順なのだろうかと考えていると、キースがリディアの頭を撫でる。 「今度は口で咥えて」 「ん……あ、はい」 萎えることなく猛々しく天を向いたままでいる肉棒を、彼に言われるがままゆっくりと咥えこんだ。 口腔内が彼の男根でいっぱいになる。 大きなそれを根元まで咥えなければいけないのかと不安を覚えていると、キースが次の命令をしてきた。 「全部咥えなくていいよ、その代わり、出し入れしてみて。セックスしているみたいにね」 「ん……ぅ」 セックスしているみたいにというのは、顔を上下させてみろと言っているのだろうか。 ゆっくりと思ったまま顔を動かしてみると、キースが甘く息を吐いた。 「ああ、いいよ……リディア」 そういえば、綺麗にしろと命じられていたことに気が付き、上下に陰茎を唇でしごきながらも、舌を動かしてそこについている体液を舐めとる動作をする。 「……っ、本当に、おまえはどこまで私を堕とすつもりなんだろうね?」 キースが苦々しく言い、行為を中断させられると身体が宙に浮いた。 抱え上げられ、連れて行かれた先はベッドの上だった。 「我慢しないと私は初めに言った。だから、何度しても構わないだろう?」 脚を大きく広げられ、まだ濡れそぼっている蕾に、ついさきほどまで口の中に感じていた逞しい男性器を押しつけられてしまえば「早く挿れて欲しい」としか思えなくなる。 「は、はい……いいです」 「おまえは、私とこういうことをするのが好きで好きで堪らないんだよね?」 「え?」 「セックスをするのが好きなんだよな?」 彼の言い方だと、まるでそれがいけないものであるように思わされる。 「好きって……でも、これは、子供を――」 「子供を作るだけの行為? 本当にそうかな。子供云々よりも私のこれで気持ちよくなりたいって思っているんだろう?」 先ほどの余韻を残している蕾に、ぬるぬると男性器を滑らせながらキースが言う。 確かに、他ではけして得ることの出来ない快楽が、彼との行為で得られるのは事実だったが、いったいキースが何を言おうとしているのかが判らなかった。 「おまえは、想像していた以上にやらしいよね」 「や、やらしいってそんな……」 彼女の羞恥心を煽るキースの物言いに頬を染めると、彼は美麗な口許を僅かにあげる。 「認めないの? こんなふうに濡らしておいて」 「それは、キース様の精液です」 わざと音が立つように互いの身体を擦り合わせてから、キースは意地悪く微笑む。 「私の精液だけで、自分は濡れていないと嘘を言うのか」 「だ、だって、濡れるのは、セックスする為に必要なもので……」 「気持ちいいことをしたいんだろ?」 秘裂に先端部を何度も擦り合わせながらも、キースは胸を揉んでくる。 彼の手のひらで柔らかくつぶれた乳首が、甘美な感覚を生む。 「や、ぁ……」 ついさきほど、絶頂を知ったばかりの身体は貪欲に快楽を求めようとしていた。 お腹の中の熱に身体が震えてしまう。 「欲しい? 挿れてって、おねだりしてみなさい」 おねだりという彼の言い方がひどく淫猥に感じて、更に羞恥心が煽られる。 今日の彼は意地の悪いことばかり言ってくるように思え、リディアは困惑させられた。 「わ、私は……」 「言わないなら、あげないよ」 そうはいっても完全に行為をやめる素振りはみせずに、花芯を男性器で擦ったり首筋を舐めたりと、キースはわざと煽るような行動を取っていた。 「ほら、早く言いなさい」 つぷりと中途半端に先端部だけを体内に挿しながら彼は告げてくる。 どうしてキースはこんなことを言うのだろうと感じたが、ふいに「従順なところがとても好きだ」と言われたことを思い出す。 挿れて欲しいと言葉にするのは簡単だったが、今は恥ずかしいと思ってしまっていた。
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