「か、和瑳……あの、わ、私……」 「ん?」 ずっと一緒に。 その気持ちや想いを明確に出来る方法はひとつではないかと思えた。 自信なんてありはしない。 これから先の道で、私は彼の足手まといになり、共に歩くどころか転ばせてし まうかもしれない。 だけど、それでもやっぱり、私は和瑳の傍に居続けたいと思えた。 「私には、足りないものが沢山あって、和瑳を困らせる事がこの先たくさんあ るかもしれません」 「……」 「式の事にしても、子供……の事にしても、相手が私でなければもっとスムー ズにいく話だと思うんです」 「……そう?」 「だけど、私は、和瑳のお嫁さんに……なりたいです」 「もう色々考えなくていいよ、一生ふたりで生きていこう」 「和瑳」 「結構それって、俺にとってもベストな事だったりするし」 「ベスト?」 「独占欲が強いんで、君の感情が他に向くのはイヤかなって」 笑って言うそれは、彼の優しさだと思えた。 「君の気持ちが固まっているのなら、俺は遠慮はしないよ」 「……遠慮?」 「結婚しよう、式もふたりだけで挙げればいい」 「は……い」 「うん」 小さく和瑳は笑ってから私を抱き締めた。 「一生俺が君を護ってあげるから。どんな事からも、寂しさからだって……」 寂しくさせない、これから先の未来は。 彼がそう言った瞬間、涙が溢れた。 過ぎ去った季節を思い返してみても、それはもうどうにもならない事で。 それが判っていても、私はずっと振り返りながら生きてきたような気がした。 でも、これからは真っ直ぐ未来を見つめて生きていく。 私が望んだ世界がずっと広がっているのだから。 小さな教会で鳴る鐘の音は二人を祝福する音。 それは世界一優しい音だと感じた。 その日は生まれて初めて私が生まれてきたことを許された日になった。 〜END〜