※注意 この話には透也のひとりエッチの描写が有ります※ 初めは小さな棘が刺さったのだと思っていた。 だけどそれは毒を持つ棘で、私は徐々にその毒に冒されていく。 身体に蔓延した毒は、私が何者であるのかさえ判らなくしていった。 私は誰で今何処に立たされているのか。 これからどんな道を歩もうとしているのか。 もう判らない 判らない ****** がちゃん 鍵を開ける音がして、黒い扉が開けられた。 開かれた扉を見て私は透也を見上げた。 「どうぞ、入って」 「…うん」 私が玄関の中に入ると、彼は扉を閉めた。 そしてスリッパ立てからグレーのスリッパをひとつ取りあげて、私の前に置い た。私に履けと言う事なのだろう。 透也は元々床に置いてあったスリッパを履くと、フローリングの廊下をぱたぱ たと歩いて行く。 私も彼に続く様にしてスリッパを履き、彼の後を追った。 硝子の扉を開く。 私の狭いワンルームとは違い、広い広い部屋があった。 ワインレッドの遮光カーテンを彼が開けると部屋には光がいっぱい差し込んで くる。 窓の外には小さな街並みが広がっている。 高い場所から世界を見下ろして、彼はいつも何を思い、何を考えているのだろ うか? (透也の家…透也の匂いがいっぱいする…) 胸の鼓動が少しだけ早くなった。 透也は結っていた髪を解いて、私の方を見る。 「何か飲む?ビール?ウィスキー?バーボン?それともワイン?」 彼の背にある棚の中には沢山のアルコールのボトルが置かれている。 どれも高級な銘柄のものだ。 小さな冷蔵庫の様な物が目に留まる。 「それは?」 「ワインセラー。君が生まれた年のワインもあるよ」 私が生まれた年。つまり透也が生まれた年でもあるのだけど… 「お酒は遠慮しておく」 「そう?」 透也は冷蔵庫を開けて缶ビールをひとつ取り出した。 「アルコール以外だと、ミネラルウォーターぐらいだな。どうする?」 「あ、貰う」 私がそう応えると、透也は小さなミネラルウォーターのペットボトルを取り出 して冷蔵庫の扉を閉めた。 彼の手からペットボトルを受け取る。 ぷしゅっとビールの缶が開けられる音がした。 透也はそれを口に含ませる。 彼の白い喉が動いた。 「…座っていいよ、どうぞ」 彼と同じ様に立ったままでいる私に向かって透也が座る事を勧めてきた。 私は黒い革張りの三人掛けのソファーに腰を下ろす。 透也はその正面に置いてある一人掛けのソファーにその身を沈め、長い足を組 んだ。 向かい合って座られると、尋問か何かをされる様な気分になって居心地が悪か った。 透也が眼鏡のレンズ越しに私をじっと見ている。 「な、何?」 「見ているだけ。いけない?」 「……私を見たって面白い事なんて何も無いよ」 薄茶色の瞳で嬲(なぶ)られている様な気がして私は身を縮ませた。 落ち着き無く手の中でペットボトルを遊ばせる。 透也は足を組み変えた。 肘置きに肘をついて頬杖をしている。 「この二週間何して過ごしていた?」 「な、何って…普通に」 「何回位、男に抱かれた?」 彼の言葉に、身体がひくっと震えた。 「毎晩?」 私は、ふるふると首を振った。 「一日おき?」 私はまた首を振る。 「ふっ、奴の方が堪え性があるという事か」 透也は空中に視線を泳がす。 「僕なら毎日抱いても足りない」 「…」 「この二週間君の事ばかり考えていたよ。どうやって過ごしているのだろう、 夜は…男に抱かれているのだろうかと考えて胸を焦がしていた。君を抱く腕は 僕のものであればいいのにと思った」 「……」 「少しは、僕の事も考えてくれた?」 私は、こくんと頷いた。 「そう」 彼は目を細めて微笑んだ。 「あながち、堪え忍んだ日々も無駄ではなかったと言う事か」 「…ほん…とうに、私の事…考えてた?」 「ああ、考えていたよ。君の事を考えながら毎晩…」 そこまで言って彼はふっと妖艶に笑った。 意地悪く笑っている様にも、甘く誘いかけている様にも見える瞳で。 「毎晩、何?」 途切れた言葉の先を聞きたくて私は彼に問いかけた。 透也はそれを待っていたかの様に、にやりと笑う。 「毎晩自慰をしていたよ」 「え?ジイ?」 聞き慣れない言葉が耳に飛び込んできて、私はそれが何を指しているのかすぐ に把握する事が出来なかった。 「マスターベーションと言ったほうが判る?」 「えっ…あっ…」 私の顔がかぁっと熱くなった。 透也が、その…ひとりでシてたっていう事?? 「だって、どんなに欲望に支配されても、別の女で処理するわけにはいかない だろ?それともそうした方が良かった?」 「そんなの、嫌だよ」 自分勝手な発言だとは判っていた。 自分は景ちゃんに抱かれながら、透也には誰も抱いて欲しくないなんて。 「…ねぇ」 「う、うん?」 「男が自分でしてる所って見た事ある?」 「そんなのっ、な、ないよっ」 「興味ない?」 透也は妖艶に微笑んで私を斜めに見てくる。 「どういう…意味?」 「見たくはないか?抜いてる所」 「え…え??」 「ご希望であれば、見せてあげるけど」 私はかぁっと赤くなった。 「かっ…からかっているの?」 「いや?本気」 「……」 私は返答に困ってもじもじした。 興味があるか?と聞かれれば無いこともない。 だけど見せてくれと言うのも淫乱な感じがしないか? 「どうする?」 「…え…あ…」 透也は私を試しているの? 性にどれほど積極的で、淫らな衝動を持っているか 私を暴こうとしているの? 「ふっ、何をそんなに警戒しているの?思うまま正直に答えればいいんだよ」 「…み、見てみたい…」 「良いね。好奇心旺盛で」 ククッと透也は笑った。 「じゃあ、ショータイムの始まりだ」 透也は、かちゃかちゃとベルトのバックル部分を鳴らしながらベルトを外すと ズボンの前をくつろがせた。 そして黒い生地の中にしまわれている自分自身を引き出す。 透也はまだ小さい自分のそれをやわやわと揉み、少し形を持ち始めると手を上 下に動かしてそれを擦った。 みるみる形は変化していき、大きくなっていく。 私は、ごくんと息をのんだ。 透也のあれをこんなにまじまじと見るのは初めてだ。 身体で感じていた通り、透也のは大きくて逞しかった。 「…ん…ふ…」 彼が甘い吐息を漏らしながらこちらの様子を窺っている。 私、じっと見過ぎている? でも…目が離せない。 透也は髪をかき上げながらも自分への刺激を与え続けている。 きゅっきゅっと上下に手を動かしている。 少し苦しそうに眉根を寄せながら。 心臓の高まりを表すように彼の白い頬がほんのりと赤らむ。 「あっ…はっ…」 艶っぽい声を彼が上げる。 そして彼は自分の顔を覆い隠すように手を顔に置いた。 それでは透也の色っぽい表情が私から見えなくなってしまう。 私は少し迷って、それから立ち上がり彼の傍に寄った。 そして顔を覆っている手をどかして、彼にかけられている眼鏡を外す。 甘く潤んだ薄茶色の瞳が私を見た。それがまた艶めかしく悩ましげだった。 「みのり…みのり…」 何かを懇願するように透也が私を呼ぶ。 私は見上げてくる彼の唇に自分の唇を押し当てた。 「ふっ…はぁ…はぁっ」 彼が一層苦しそうな表情をし、上下の手の動きを速める。 「う…クッ…」 透也の手の中にあるそれが張りつめているのが判る。 ドクドクと脈打っていそうだった。 「うァ…あっ…はっ」 彼の手の動きが早くなり、腰を天井に向けるようにして浮かせた。 「はっ…はっ…はぁっ…イク…出るよ…みのりっ」 血の流れがそこに集まるように透也のあれが充血している。 先端からは透明の液体がとろりと流れ出ている。 私は激しい性衝動を覚えて、透也のものを銜えた。 「みの…り?…良いのか?君の口に出しても…」 透也の手が私の頭に添えられる。 ウン 私は頷いた。 私、透也の精液を… ちゅぷちゅぷっと私は頭を上下に動かして彼の射精を促す。 「…みのり…君は口の中も良いね…イイテクしてる…だけど、それも教え込ま れたものだと思うと…妬ける…」 透也は腰を前後に揺すり私の喉の奧まで到達しそうに勢いを付けた。 ん…苦しい…透也の全部、銜えきれないよ… 「みのり…あぁっ…出る…出るっ…くっ…」 「んふっ…ふぅ…」 「うっ…あっ…」 どくんっと透也のそれが弾けた。 私の口の中に透也の精液が吐き出され、独特の牡の香りが鼻を抜けていく。 ごくっと喉を鳴らす。 だけれども溢れて飲みきれない精液が透也のモノを伝う。 「……」 私は下からすくい上げるようにして透也のそれを舐めて精液を拭う。 そしてまだ先端に溢れる白い体液をちゅっと吸い上げた。 彼の体内の液体を余すことなく吸い出すようにして。 …透也の、透也の精液もっと…飲みたい。もっと出して ちゅっちゅっと私は彼のそれを吸う。 「みの…り…、も…ギブアップだよ、口を離して?」 頭の上で透也の声がして、私はハッとする。 「ごめ…ごめん…私…」 私は自分のした事が恥ずかしくなって顔を赤らめた。 「いつも、こんな風にしてあげているの?」 「…し、しな…いっ」 私は透也に背を向けて顔を覆い隠した。 「…熱烈で、まるでもの凄く愛されているかの様な錯覚を起こしそうになった よ」 透也はそう言いながら私の唾液にまみれた自分のそれをティッシュで拭き取る 「君はいつも僕の予想の上を行ってくれる」 クッと透也が笑った。 |