ただ欲望の赴くままに抱きたいと思う日もある。 僕の言うそれは、身体だけへの快楽では無い。 ****** 今日の僕は朝から”そういう気分”だった。 ベッドの中で共に眠っていた彼女の小さな身体を、そっと抱き締める。 細く薄い肩に顔を埋め、彼女の香りを堪能する。 皮膚からふんわりと柔らかな香りがしていた。 「みのり…」 ちゅっと首筋にキスを落とす。 彼女がくすぐったそうに肩をすくめる。 指先を彼女の身体に滑らせて、胸の先端部で止めた。 軽くそれを弾くと、ぴくんと彼女が反応するので僕は彼女の胸を包むように手 のひらで撫でた。 みのりは胸を触られるのが良い様子だった。 僕も彼女の胸を触る事が好きだ。 柔らかな弾力が心地良い。 「ん…ん…透也、学校…は?」 みのりがまだ眠そうにして目を擦りながら言った。 「行くよ…だけど、一度抱かせて…」 「…透也のえっち」 「ごめんね」 僕は笑って彼女にキスをする。 彼女の身体の上に自分の身を置くと、僕はもうすでに勃ちあがっているソレを 蕾の辺りに擦りつけた。 「ん…あ、ン」 「…僕に触れて…」 みのりの耳元で囁く様に言うと、彼女はそっと手を伸ばしてくる。 僕の熱い塊を彼女の手が包み込む。 「もう…凄く…」 「うん、硬くなってる…」 「どうして?」 「どうしてだろうね、なんだか無性にしたい気分なんだ」 彼女に僕を撫でられて、そこに血液が集まってくる様に熱く硬く張りつめた。 彼女のパジャマのボタンを外し、キャミソールを捲りあげると唇を先端の赤い 実に付けた。 「ん…は…ん…」 ふるっとみのりが小さく震える。 先端部を口に含みながら、彼女の胸を揉んだ。 口の中でその小さな実を転がして、或いはそこを外して周りを舐めたりする。 「んふ…ふ…」 甘い声で彼女が啼いて、身体を反らせる。 「胸、好き?弄られるの」 「う、ウン…」 「僕も、君の胸を触るのは好きだよ、柔らかくて温かくて」 こりこりと先端部を指先で転がして刺激を其処に与える。 「ふ…ふ、あ…」 「可愛らしい胸だ、カタチも大きさも僕の好みで」 好みも何も、それが彼女のものであるから好きだと思えるのだが。 指に吸い付いてくる様な瑞々しいみのりの皮膚を僕は堪能する。 指で感じ、唇で感じる。 舌先を皮膚で踊らせると彼女が一層反応した。 胸から徐々に舌を下げていく。 パジャマのズボンに指をかけるとそれを身体から抜き取った。 ショーツ越しに彼女の蕾に触れて舌を太股の内側に這わせる。 「あ、ああん…透也…」 息苦しそうに喘いで、指を唇に当てる。 「声を押し殺さないで、僕に聞かせて」 小さく彼女が震える。 蕾への刺激に堪える様に。 そして次第に僕のほうが我慢出来なくなっていくのだ。 ただ指で触れるだけでは満足出来ずに、僕のこの口で彼女の味を知りたくなっ ていく。 彼女のショーツを脱がして彼女の女性器に口を付ける。 「い…ぁ…はぁっ…」 ひくっと彼女の身体が小さく跳ねる。 敏感で柔らかな肉を分け入って、谷の奧にある窪みに舌を差し入れる。 くちゅっと水音がたち、その淫靡な音に僕の聴覚が刺激された。 目で見て、耳で感じ、芳しい身体の匂いを嗅ぎ、触覚で皮膚の柔らかさや弾力 を感じて味覚をも使い彼女を感じる。 僕の全てで感じる彼女の身体、そしてその存在。 小さな身体全部で僕を受け止めてくれると思うから、僕の欲望は昼夜問わず彼 女を求める。 甘美な快感以上に僕が心地良く思う、心を満たす何かが僕を駆り立てていく。 身体に感じる快感よりも強く感じる心の快感に僕は溺れる。 満たされる事で感じる幸福。 愛されるという儚さを背中合わせに持っている想いを僕に向けて欲しくて…。 性器をただ擦り合わせる為だけのセックスはもう要らない。 お互いを許し合えるそれが僕は欲しい。 彼女の窪みからは彼女の液体が溢れ出てくる。 その匂いや味が僕を刺激する。 僕を求めているの?僕が欲しいの? 君の可愛らしい声で、そうだと言って欲しい。 指を彼女の体内へ差し込む。 彼女の柔らかくて温かい肉壁を刺激していくと、みのりが声を上げる。 心が欲しいと少年の様に求める僕と、どうやって彼女を高めてやろうかと思う 牡の僕がせめぎ合う。 ―――――牡の僕の方が強いな… ふっと笑ってもう一本、彼女の身体の中に指を差し入れた。 たかだか指二本だというのに彼女の内部はきつく、指を締め付けてくる。 更に指を奧に差し込むと、みのりの反応が変わる場所へと辿り着く。 「そこっ…やっ…」 みのりが身体を捩って指が当たる場所を変えた。 「どうして?君のイイ場所だっただろ?」 「だ…って、そこ触られるとすぐ…いっちゃう…」 「イきたくないの?」 もう一度彼女のスポットへと指を動かす。 そこをそっと撫でるだけでも彼女はびくびくと震えた。 「…イかせてあげるよ」 彼女の内部で僕は指を細かく動かして擦った。 「や…ぁん…だ、め」 「イッて良いよ…好きな時に」 「やん…」 みのりが僕の手を押さえつけてきた。 「どうして?」 「透也は冷静で、私だけが高まってるのって、恥ずかしいから嫌」 「別に恥ずかしがる事はない、僕はみのりのイク時の顔が好きだから」 「で、でも…」 「君の可愛い顔を僕に見せてよ」 僕がそう言っても、彼女は僕の手から自分の手を離そうとしない。 「邪魔するとその手を縛るよ?…あぁ、そういう奴の方が好きなんだっけ?」 ふっと笑って僕が言うと、彼女が頬を赤く染めた。 だけど僕は拘束具は持っていない。 本当にそういうのが好きだと言うのであれば買っておくのも悪くない。 前回の様にパジャマを使っても良いのだが… 立ち上がってクローゼットからネクタイを一本取り出す。 怯えた様な色を彼女が瞳に浮かべるから怯んでしまう。 「好きなの?嫌いなの?」 「…嫌い…じゃない…」 みのりがそう言って僕の前に手を差し出してくる。 僕はその華奢な両手首にネクタイを巻いて拘束する。 彼女が瞳を甘く滲ませて溜息をついた。 「…興奮、する?」 そうやって訊くとみのりは小さく頷いた。 「そう」 彼女を寝かせると、もう一度みのりの体内に指を差し入れた。 「あ…ぅ、ん…」 ふるっと彼女が震える。 彼女の生殖器を保護している粘液が僕の指にしっとりと絡みついてくる。 他の女の液体は、ひどく不味いものに感じるのにみのりのそれは匂いも味も僕 を興奮させる秘薬となる。 味を知りたい、匂いを嗅ぎたい。 それは本来の牡の姿なのだろうか? 頭を下げて蕾の部分をちろちろと舐める。 香る女性器の匂いに興奮する。 舌に感じる味や柔らかさに眩暈がしそうだった。 指を出し入れすると、くちゅくちゅとやらしい水音がたつ。 僕は彼女が最も感じる場所に指を当てると細かく擦り上げた。 「ひゃっ…ああん…」 みのりが足を閉じようとするので、僕はそれを押さえつけた。 「イイ顔、見せてよ」 唇を舌で拭うと、顔を上げた。 「とう…やっ…」 「ココがイイのだろ?隠したって駄目だよ、僕には判っている」 内壁が指の刺激を悦ぶ様に締め付けてくる。 もっとしてくれとせがむ様に。 「身体が反応しているよ」 僕がそう言うと彼女は拘束された手を顔に押しつけてその表情を隠そうとする。 後ろ手に縛れば良かったか? 「隠さない」 僕はそれを許さずに、拘束された手を掴んで下げた。 「ん…んは…ああん…」 みのりが苦しそうな顔をする。 「イイんだろ?どうなの?みのり」 「は…ぁ…イ、イイ…んっ」 ぴくんと彼女の身体が小さく跳ねて、それから快楽に従順になって艶めかしく 腰を揺らす。 「そう…いい子だ、もっと淫らな所を見せて」 「透也…ゆび…あ、ん…」 「指が何?」 催促をすると震える唇で彼女が浮かされた声を上げる。 「気持ち…いい…」 「そう、指だけでも気持ちが良くなっちゃうんだね、やらしいね君は」 「…でも、もっと…大きいの、欲し…」 「今度はおねだり?」 ふっと笑って僕は擦る速度を上げた。 「ああっああんっ」 彼女のつま先がぴんと伸びる。 「イって、僕を入れるのはそれからだよ」 「あん…ああ…はぁ…はぁん…」 「気持ち良さそうな顔してる、そんなにイイ?」 「…ン、あ…気持ち…良い…よぉ…」 きゅうっと彼女の内部が締まる。 更なる快楽を求めて。 「可愛いよ、僕の愛しの君…もっともっとやらしい顔をして見せて」 「んっ!んはぅうんっ…と、や…透也」 みのりが嬌声を上げる。 そんな声も堪らなく愛しくて、もっと啼かせたくなる。 「透也、も…だめ…」 「イク時はイクって言って」 内部をかき混ぜ、それからまた彼女のスポットに指を擦りつける。 ふるっと彼女が震えた。 「いっちゃ…ああっ…イク…ぅふんっ」 彼女の頬が薔薇色に赤く染まり、僅かに開いた柔らかそうな唇が甘い声を漏ら す。 「ああ…イク…イク…や、ぁん!あああっ」 閉じられた瞳から生えそろう長い睫毛が細かく震えた。 締め付けてくる彼女の内壁を更に擦るとびくびくっとみのりが跳ねた。 「ひゃ…ん…あふぅん!はぁっ」 可愛い声で啼く。 僕は薄く微笑んでパジャマを脱ぎ捨てて、熱くなった自分の塊を窪みにそっと 押しつけた。 僕を迎え入れようとする彼女が軽く腰を浮かせる。 待ちかねているその彼女の様子に僕は興奮した。 彼女の右足を高く持ち上げて肩に掛け、ゆっくりと挿入し二人の繋がりを深く させた。 僕のモノが彼女に埋め込まれていって見えなくなっていく。 熱くなっているみのりの内壁が僕を包む。 挿入の始まりは、堪らなく甘く腰が痺れる。 その快楽に慣らす様に僕はゆっくりと身体を揺らした。 僕と彼女が触れ合っている部分から甘い快感が生まれる。 溜息をついた。 彼女が僕にもたらす快感に、眉を寄せて堪える。 溢れてくる。 甘い快楽と、想いが。 「ああっ、あんっあっ…ん…ぅんっ」 僕の腰の動きに応える様にみのりも腰を揺らす。 彼女と繋がったまま、担ぎ上げていた足を下ろすと後背位で彼女を抱く。 腰を使うと彼女は一層高い声を上げた。 「この姿勢、好きなの?」 初めは正常位の方が好きなのかと思っていたが。 「こうやっていると透也に犯されているみたい」と、彼女が小さな声で言った。 ああ、そうだった、彼女はそういうのが好きなんだったな。 いつもよりも息を乱し、快楽に溺れた様にくたっとしている彼女を見下ろして 再確認した。 骨抜きにされた猫みたいで可愛い。 「こうしていると、僕が出し入れしている様子が良く見えるよ。…後ろの、穴 もね」 僕はそう言うと、視線の先にあるみのりの後蕾をくっと親指で押した。 「やぁんっ」 ぴくんっとみのりの身体が跳ねる。 「そんな所、触っちゃやだっ」 前に拒んだ様に、今も彼女はそう言って腰をくねらせた。 「…駄目、ココも、僕は奪うつもりでいるんだからね」 みのりが怯えた様な瞳で見上げてくる。 「前にも言ったよね?」 僕の目の前で露わになっている後蕾をくにくにと弄ると彼女は何かに堪える様 な表情をする。 「…ん、は…」 「…いいよね?」 「…」 「どうなの?まさか僕の言う事が聞けないなんて言わないよな」 語尾を強めて言うと、彼女がぴくっと震えた。 「答えろ」 僕はわざと声のトーンを落として言う。 「…と、透也の…好きにして…いい…」 彼女の返答に、僕はみのりの耳元で囁く。 「”して下さい”だ」 みのりが小さく震える。 「…怖いの?」 僕が訊くと彼女は首を振った。 「わ…私、やっぱり、変」 「どうして?」 「だって…凄く…」 「感じちゃう?」 こくこくと彼女が頷く。 「僕が変だと思っていないのだからそれで良いだろ?」 つつっと背中に指を滑らせる。 彼女の白い肌が泡立った。 「はぅん…」 「…腰、振って。もっと僕を悦ばせて」 僕がそう言うと、彼女は身体を揺すった。 手が不自由なので若干動き辛そうだ。 「手を解く?」 僕の問いにみのりは首を振った。 「この…ままで」 「そう」 彼女の腰を掴んで、激しく腰を使う。 「ひゃあんっ」 「…痛かったら、言え…」 「だ、大丈夫…」 後から彼女をぎゅっと抱き締めて、抽送を繰り返す。 腰を揺らしながらも、彼女の白い肌に舌を這わせる。 みのりが甘く啼く。 「ふ…可愛い声だよ」 僕が唇を寄せると、彼女はこちらを向いてキスをした。 どちらともなく舌を差し出し、絡め合う。 僕はわざと彼女の口に僕の液体を流し込む。 それを嚥下するみのりが可愛くて堪らない。 「…僕のは、気持ち良いか?」 反応を見ていれば明らかなのに僕は彼女に言わせたかった。 「…き、気持ち良い…透也の、硬くて熱くて…私の中が、透也でいっぱい…」 「みのり…」 「ふ、ぁ…あん…あんっ」 一時、その体位で抱き合った後、彼女から自身を抜き出しみのりを仰向けにし て再び挿入した。 「あっああっ、あんっ」 「…僕は、こっちの方が好きだ…君の顔がよく見える…」 溶けそうに甘い表情で僕に抱かれている彼女をよく見たい。 みのりは潤んだ瞳を一瞬開けて、また瞳を閉じた。 「どんな体位も…好き…」 抱いているのが僕ならば、と彼女はうわごとの様に言う。 そう言うのなら、僕だってそうだ。 「あ…ああっ…透也」 「愛している、片時も手放したくない位…」 「透也…ああん…私、あっ…私っ…も」 途切れる言葉を繋いで欲しくて身体の動きを止めた。 「…言って…」 「はぁ、はぁ…私も、愛してる…離れて、いたくない」 「可愛い子…」 彼女の額に唇を落とした。 視線を彼女の目に向けると、泣き出しそうな表情をする。 「くちに、して…」 「…ああ」 薄く開かれた彼女の唇に自身の唇を重ね合わせ、そして舌を差し入れた。 口でセックスをするかの様に僕達は何度も何度も舌を絡め合わせてはお互いの 口腔内をまさぐった。 「透也とするキス…好き」 「…僕もだよ」 抱き締めたいと思うのも、抱き締められたいと願うのも、君ひとりだけ。 浅く漏れる吐息でさえも愛おしいと思うのは君だけだ。 君が、 僕からの愛を望まなくなったとしても、僕は永遠に想いを向け続けるだろう。 いずれ―――――君に言わなければならない事がある。 僕の告白を、君はどんな風に受け止めるだろうか? 信じるという事は容易くない。 君が僕を信じ切れないように、僕もまたそうなのだ。 長い間、誰も信じる事が出来なかったから余計に臆病になる。 愛は優しくない。 それは剥き出しの人の感情だから。 深く激しくコントロールしきれない物だから翻弄される。 だけど僕はそれを求めた。 愛する事と、愛される事の両方を望んだ。 「透也、透也っ…」 抽送をする僕を阻む様に彼女の内部が狭くなる。 「…はっ…イク、の?」 息を吐きながら僕が言うと、彼女はぶるっと震えた。 「良いよ、イかせてあげる…」 最奧に僕を差し込み、自身の先端部で彼女のイイ部分を撫で上げる。 「ああっああん…透也、透也…は?」 「…僕はまだまだだね…構わないからイっちゃって。次の時、僕も調子を合わ せてあげるから」 彼女は僕と一緒にイきたがる。 シンクロしたいと思うのは愛情の証なのだろうか。 それとも同じ物を分け合いたいという想いなのか? どちらでも彼女が可愛いと思う事には変わりがない。 彼女が望むのであれば、それを叶えてあげる事も可能ではあったが… 「あっ…あっ…ああっ」 神経を集中させて彼女がイける様に専念する。 どうすれば女性がイきやすいかという事を幸か不幸か知っている。 それは一度のセックスの時間をなるべく短くしたかったからだ。 頂点まで達したら、それ以上続けろと不満を漏らす女はそうそういないだろう。 逆を言えば、僕は自身がどうすれば達するかという事も知っている。 だから先程の僕の”まだまだだ”という発言は肉体的限界の事を指すのではな く、彼女とはまだ抱き合いたいから達さないという”感情”の事を指す。 愛という物が絡まなければ自分をコントロールする事は容易かった。 僕の心の糸に触れられなければ、イクもイかないも自由だった。 みのりが相手だと、どうにもこうにもならなくなる場合があるのは仕方がない 事だ。だけど、今は融通がきく。 彼女の波に合わせる様に僕は動いた。 「ああっ…透也、んっ…ああっ」 「…イける?イきそう?」 「んっ…んっ…い…ちゃう…っ」 「良いよ、イって」 「んっ…ううっ、ああああんっ!イ、く…ああああっ」 みのりの内部がきゅっと締まる。 僕を共に呑み込もうとする波をやり過ごそうと息をつく。 彼女の最奧に僕を差し込んで動きを止めた。 内壁が僕のそれの存在を確認する様に蠢く。 「あふ…ん、く…ああっ」 ひくんっと彼女の身体が跳ねる。 達した余韻を苦しむ様に眉を寄せ、僕の胸に置かれた拘束された腕が小刻みに 震える。 僕が腰を揺らすとぶるっとみのりは震えた。 「あ、ふぅ…と、や…まだ…動いちゃ…や…」 腕が、がくがくと震えている。 みのりの場合、達したすぐ後に動かれるのが辛いという事は百も承知だ。 だけど我も判らなくなる位に乱れる彼女が見たいという気持ちが僕の中にある。 ゆっくりと腰を動かした。 「ひゃあん…や…やぁん…透也、ああんっ」 しなやかに仰け反らせる彼女の身体を僕はしっかりと抱き締めて身体を動かす。 「透也、だめ…ま…って…んぅっ…あああっ」 身体を硬直させる様に震わせて、彼女の内部は言葉とは裏腹に僕をぎゅうぎゅ う締め付けてきていた。まるで僕を望んでいるかの様に。 「透也、透也っ…ん…ふぅ…あっ」 イヤイヤと頭を振って襲い来る波をどうにかしようとしている。 彼女を拘束しているネクタイをその腕から解いた。 「もう、必要ないだろ?」 彼女は僕の身体に腕を回し、ぎゅっと抱きついてくる。 「透也ぁっ」 「…僕を、感じて」 敏感になっているその身体で一層強く深く僕を感じて。 君の内部で溶け合う様にその熱でひとつにして。 「ああああっ、いやぁんっ」 泣く様な声を彼女が上げる。 「…二度目は、一緒に…」 告げた僕の声が聞こえただろうか? 彼女は全身を震わせる。 荒くなる僕の息に合わせるように彼女も息を漏らした。 甘く激しい欲望を僕が彼女の中に吐き出す瞬間に、彼女も身体を反らして高い 声を上げた。 心地良い疲れが僕にどっと押し寄せてきて、それは静かに終わっていった。 みのりを見ると、しくしくと泣いている。 「ごめんね?」 僕が謝ると恨みがましそうに彼女がこちらを見てきた。 「待って、って言ったのに」 「ごめんごめん、我慢しきれなくなっちゃってね」 嘘だけど。 腕に頭を乗せていた彼女が、僕の胸にぐりぐりと頭を擦りつけてくる。 「うーっ…もうっ」 「ごめんね」 ふっと笑った。 だけどね、感情の赴くままに自分を解き放ちたいと思うのは君の前でだけなん だよ。 僕はそれを言葉にはしないで心の中で呟いた。 静かに目を閉じる。 僕の中に、愛が溢れていく。 至極のひとときだった。 |