喫茶店を出て、私達はフェイクタウンへと向かう。 透也が手を差し出してくるので、私はその手を掴む。 だけど、同伴の時は他の人にもこうしているのかと思われて、少し不機嫌な気 分になった。 フェイクタウンの看板が目に入る。 あぁ、久し振りに見る… 初めて香穂にここに連れて来られた時、どきどきしていた。 ホストクラブなんて未知の世界が一体どんな物なのだろうと考えて。 透也と初めて逢った時、なんて綺麗な人なんだろうって思った。 NO.1ホストと呼ばれるだけあって、風格と品位を兼ね備えた人だって思っ た。 彼と私の世界は決して交わり合う物ではないと思っていたのに、私は今こうし て彼の傍に居る。 透也の横顔を見上げた。 好きで好きで、どうしようもない程愛していて、世界を分けては決して生きて はいけないと思わされる人で、私の中では彼への深い愛情が息づいている。 愛してる。 何度言っても伝えきれない想いがそこにはあって…。 透也がフェイクタウンの前を素通りする。 「え?ヒカル?」 「裏から入るよ」 「どうして?」 「僕は今日、指名は受けないようにしているんだ、君の接客をする為にね。だ から表から入って僕が出勤した事を他の客に知られるとまずい」 「そ、そこまでする?」 「当然」 「そんな事をしたら売り上げに響くんじゃないの?今月NO.1になれないよ?」 「別に。僕はNO.1だとかそういう肩書きには興味がない」 透也が淡々とそう言う。 そりゃあNO.1の地位を守るために必死になる透也って想像出来ないけど… 私達は裏からフェイクに入店する。 「あ、ヒカルさんお早う御座います」 「お早う、VIPルームは空けてあるよね?」 「はい。空けてあります」 「ありがとう」 透也は足早に個室に私を招き入れた。 あ、それなりに広い。 カラオケの機材も置いてある。 透也は、さっと私の後ろに回った。 ん? 「コート預かるよ」 透也がそう言う。 あ、コートね。 私がスプリングコートのボタンを外すと、彼が脱がしてくれる。 「僕もコート脱いでくるから、ちょっと待っていて」 透也は軽く私の頬にキスをすると部屋を出ていった。 彼にキスされた所に手を置く。 うー…もう営業バージョン入っちゃっているのかなぁ… 透也ってお客とは寝ないとか言いながらも、キスはしまくってそうな感じがす るのよね。 香穂相手に苺を口移しであげたりしてたし。 透也が戻ってくる。 濃いグレーのスーツを身に纏っていた。 「飲み物は何が良い?シャンパンでも飲む?」 透也は私の隣に座り、肩を抱いてくる。 うー…なんか一連の流れっていう感じがするのよね… 「シャンパンってドンペリの事?高いんでしょ」 「それぐらい入れないと。VIPルーム使っているんだし」 「…それってヒカルのメンツに関わるって事?」 「まぁね」 「だったら、ヒカルに任せるよ」 「お腹も空いているでしょ?ウチの食べ物メニューって結構美味しいんだよ」 透也はそう言いながら、テーブルの上に置いてあるインターフォンみたいな物 のボタンを押してドンペリのゴールド持ってきてとか喋ってる。 しばらくすると、ウェイターの人がシャンパンを持って来る。 「ヒカルさん、コールどうします?」 「要らない。止めて」 透也は手をひらひらさせながらそう言った。 「コールって?」 私がそう言うと、ウェイターの人が「え?」って顔をした。 え?知らないとまずかった? 「下がっていいよ」 透也がウェイターの人にそう言うと、彼は扉を閉めた。 「コールってね、ドンペリコールと言ってドンペリの注文を入れると店のホス トが全員集まって”ドンペリ入れてくれてありがとう〜”みたいな事を言って マイクパフォーマンスをする事を言うんだよ。やって欲しかった?」 「…結構です」 「だと思った」 透也は私の前にシャンパングラスを置いて、シャンパンをそこに注ぎ入れた。 自分のグラスにも注ぐ。 「いつもなら、客に注いだら残りは一気飲みしちゃうんだけどね」 「このボトルを?」 「そう」 「高いのに?」 「高いからさ」 透也はふふっと笑う。 「そういう飲み方して大丈夫なの?」 「僕はお酒に強い体質でね」 「それは前にも聞いた様な気がするけど…」 扉がノックされる。 「どうぞ」 透也が応えると、扉が開かれて食べ物が運ばれて来た。 あ、美味しそう。 「食べさせてあげようか?」 透也はそう言って野菜スティックのキュウリを手に取って私に向けてくる。 「い、いらない」 身体を下げると、透也が私の腰を抱いてくる。 「なんで逃げ腰なの?」 「私、そういうの苦手なんだってば!」 「ふぅん」 凄い間近で透也が喋る。 パープルアイが甘く煌めいた。 「やだっ」 思わず手で透也の口を覆い隠す。 「…その態度はナニ?」 透也が目を細める。 「ヒカル、顔の近くで喋り過ぎ!」 「ふたりっきりなんだから気にしない」 「気にするよっ」 透也は私の手を掴みソファーに押し倒してくる。 「やぁんっ」 顔を背けると、彼は目を細めた。 「抵抗するのはなんで?」 「私、ヒカルとはキスしないっ」 「どういう意味?」 「…」 あ、マズイ。泣きそう。 自分でも目が潤んできているのが判った。 瞬きをしたら、ぽろっと涙が零れる。 「…なんで泣くの?」 彼の質問に対して黙っていると、キスされる。 ほんのりミントの味がする。 用意周到にそういう気遣いをしているという事は、キスがサービスの中に含ま れているのだと思わされて余計に哀しくなった。 ホストが彼氏だと、キス位は許さなきゃって思わないといけないの? 例えキスだけだって唇は嫌だよ。 そう思っちゃうのは欲張りなの? 「もぉやだぁ…帰る」 「みのり…」 私が泣くと、透也が優しく頭を撫でてくる。 「どうしたの?」 「私は透也の事は好きだけど、ヒカルの事は好きになれない」 「…複雑な事を言うね」 「透也は私にだけ優しくしてくれるけど、ヒカルはみんなに優しくするから嫌」 彼はゆっくりと瞬きをした。 「成る程ね」 額をこつんと押し当ててくる。 そして笑った。 「そんなに僕の事が好き?」 「ヒカルは嫌い」 そう言う私を彼は包むように抱きしめてくれる。 「ごめんね」 謝られると余計に涙が出てしまう。 透也は悪くない。 だって仕事だもの。 私は透也がホストだという事を知っていて、彼を受け入れた。 愛するって決めた。 傍に居て欲しいって思った。 だけど心は欲張りで 彼の何もかもを独占したがっている。 多くを望めば傷つくだけなのに。 仕事の妨げになる様な事を言ったら駄目。 冷静なもう一人の私がそう言って子供じみ自分私を叱った。 「ヒカル、ごめんなさい」 貴方が生きている世界を、私が否定したらいけないのだ。 理解しなければいけないのに。 「いいよ…それだけ君が僕を想っているっていう事だからね」 彼はフッと笑った。 「泣いている君は可愛いから好きだよ」 唇に透也の唇が押し当てられてくる。 私の唇をなぞる様に彼の舌先が動く。 開けろという事なのだろう。 私は薄く唇を開けて彼の舌を受け入れる。 舌が私の口の中をやらしく動く。 自分の舌が彼の舌に触れると、身体がぴくんっと反応した。 透也が好きだよ。 涙が溢れる。 好きで好きでどうしようもない。 心の中が透也でいっぱいで私の心の器が彼への想いでいっぱいになってもなお 気持ちは溢れて零れ出す。 溢れる想いは貴方に掬い取って欲しかった。 ちゅっ 透也が私の舌を吸い上げた。 絡んだ舌が解けていく。 散々舌を絡め合わせた後で、彼が言った。 「僕、フレンチキスって嫌いなんだよね」 「え?」 私は目を開けて彼を見た。 「嫌いならどうしてするの?」 「君は、例外」 「…」 「僕は昔から他人の体液が大嫌いなの。気持ちが悪くって」 「…え、だけど」 私が彼に初めて抱かれた夜。 彼は自分の唾液を私に飲ませ、彼もまた私の唾液を飲むという行為をしたので はなかったか。彼の指示で。 「だから、君はトクベツなわけ」 透也は私の顔の横で肘を付いて、頬杖をする。 「女性の体液が嫌いだからクンニも好きじゃないし、ほらあの液体って変な味 するだろ?自分で舐めてみた事無い?」 「な、無いよ」 「ああそうか、君ってオナニーしない人だもんね」 する人は舐めるのか? 「でも透也、してくれるじゃない…」 「されると気持ち良いでしょ?」 「…良いけど…だけど嫌い、なんでしょう?」 「君のは不快には思わないんだよね」 「…」 「僕は、初体験の時からこの間までコンドームをしないで女を抱いた事は無か ったよ。まぁ、避妊の意味もあったけど、なんていうかやっぱり生で触れ合う 事には抵抗があってさ。潔癖性っていうのともちょっと違うとは思うんだけど」 「…」 「それと自分ではストイックな方だと思っていたんだけど相手が君だと欲望が 果てしないんだよね。君と出来ない時に自分で抜いたって言っただろ?あれも 今までの自分では考えられない事だったよ」 淡々と語る透也を私は見上げた。 「何が言いたいのかって言うと、どう転んでも僕が他の女を抱くなんていう事 は考えられないし、キスだってディープなものをする事は絶対に無い」 透也は私の頬に手を添える。 「軽いキスも君が嫌だと思っている事は理解しているよ。僕が君なら絶対に許 したくないから、その可愛い唇に誰かの唇が触れるのかと考えたらそいつの事 を殺してやりたいと思う」 ちゅっと額にキスされる。 「自分が嫌だと思う事を君に許せと言うのは傲慢だとは思うけど」 「でも…それがヒカルの仕事…」 瞳を上げると透也の瞳とぶつかる。 「…許す…って、言えないけど…それが嫌だと思っても、貴方からは離れられ ない…」 「極力唇にはキスをしない様にするよ」 「…う…ん」 「ごめんね」 「ううん」 透也の世界で生きていきたいと思うのなら、ヒカルの事だって丸ごと受け止め なければいけないんだ。 判ってる。 判ってるよ。 「…ヒカルぅ…」 私は彼を抱きしめた。 透也の腕が身体に回る。 「透也って呼んで良いよ。誰も聞いてない」 涙で濡れた瞳を彼に向ける。 「…透也…愛してる…大好きなの…」 「僕も愛している。君は本当に可愛いよ…」 耳に唇を寄せて、透也はちゅっとキスをした。 愛してる。本当は貴方を誰にも触れさせたくない位に。 「そういうのに、大丈夫な私になるから…」 「妬いてくれる君の方が可愛いよ」 透也は笑った。 それからお酒を飲んだり御飯を食べたりして二時間程過ぎた時、透也が言う。 「そろそろ帰る?」 「…透也、は?」 「早上がりして君と一緒に帰るよ」 その言葉に私は思わず微笑んでしまう。 「嬉しい?」 「うん」 「ねぇ…」 透也が妙に艶っぽい声を出す。 「な、何?」 「今晩は、気分を変えてホテルにでも行かない?」 「ホテル?」 「うん」 「うーん…別にいいけど…」 「じゃあ決まりね」 透也がテーブルの上にあるインターフォンのボタンを押す。 「チェックお願い。掛けでね」 しばらくすると扉がノックされてウェイターの人が入ってくる。 「本日のお会計です」 伝票を私に渡そうとしたのに透也がそれをすっと持ち去った。 「じゃ、行こうか」 「う…うん」 コートを着て私達はフェイクタウンを後にする。 この街は深夜だと言うのにまだまだ人の流れが多い。 ネオン街を少し歩くとホテル街がある。 ホテルが建ち並ぶ道を歩くのって、少し恥ずかしい。 割と大きめの落ち着いたグレーの外観のホテルの前で透也が立ち止まった。 「ここにしよう」 「…」 透也はどういう基準でここを選んだのだろう? 前に使った事があるから…とか? …また私、嫌な事考えてる。 透也は今までどんな女の人を抱いてきたんだろう 透也の初めての人ってどんな人だったんだろう 変な事ばかり考えてしまう。 彼はカードキーを差し込むと、部屋の扉を開けた。 「どうぞ」 「…う、うん…」 私は透也よりも先に部屋の中に入った。 部屋広いなぁ。 きょろきょろとする。 「綺麗なお部屋だね」 「そうだね」 透也はコートを脱ぐとそれをハンガーに掛ける。 それから私の背後に立つ。 「コート、掛けておくね」 「あ、うん…」 私がスプリングコートのボタンを外すと、フェイクでしてくれた様に彼がそれ を脱がしてくれる。 透也はスーツの上着もそこに掛けた。 「え…っと…お風呂に、お湯入れてくるね」 「あぁ、お願い」 私はバスルームに向かう。 お風呂も広いなぁ…ジェットバスだ。 蛇口をひねってお湯を出した。 「…」 ぼんやりとお湯が流れていく様を黙って見つめた。 「…」 ひとときその様子を眺めてから私は脱衣所に戻って、そこにある洗面台に入浴 剤の小袋が置いてある事に気が付く。 手に取って眺める。 泡…の入浴剤。 説明書きを読む。 あ、お湯を注ぐ時に入れて下さいって書いてある。 私はまた浴室に戻って入浴剤の封を切ると、蛇口の下あたりに入浴剤を注ぎ入 れた。 お湯が流れ落ちてくる水圧で泡が出てきている。 ふぅん。 泡が出てくる様子を眺める。 「みのり?」 後ろから透也の声が聞こえた。 振り返ると彼が立っている。 「なかなか戻ってこないから、何をしているのかと思ったよ」 「あ…うん…泡がね」 「こっちにおいで」 透也に呼ばれたので私は彼の所へ行く。 すると彼の腕が私を包んだ。 「…」 「…みのり…」 「透也…」 彼の胸にそっと顔を埋める。 温かな彼の体温が頬にあたる。 この逞しい腕で、今まで何人の女性を彼は抱いたのだろうか。 私は顔を上げて彼を見た。目が合うと透也は「ん?」といった感じに首を少し 傾けて見せる。 「…透也の初めてっていつだったの?」 「僕の初体験?」 「うん」 「あー…聞かない方が良いと思うよ」 「どうして?」 「僕の女性関係の話は、聞かない方が良いと思う」 「なんで?」 「言っただろ?ロクなガキじゃなかったって」 「…」 「本当に、君に話せる事が出来る様な話は無いんだよね」 「そういう風に言われると余計に気になっちゃうよ」 「僕に興味を持ってくれるのは嬉しいけど、そのあたりの話はシークレットか な」 「ズルイ」 「君のご機嫌を損ねる様な話をわざわざしたくないものでね」 「…そんなにひどいの?」 「だって、僕の相手は恋人でも彼女でもない人達だよ?まぁ…相手はどう思っ ていたか判らないけど」 「…」 「かと言って、積極的に関係を持った事もないよ?僕が抱きたくて堪らないと 思ったのは…君だけだから」 「…上手い事言って逃げられている様な気がするんだけど」 「あれ?信じないの?」 「だって…」 「僕が口説いたのは君が初めてだよ」 「嘘ばっかり」 「嘘じゃないよ」 透也が耳元に唇を寄せてくる。 「僕は毎日、大学で君を見かけると全身を舐め回す様に見つめていたよ」 「…と…や…」 「君の身体は、柔らかくて美味しそうだと思った。実際に抱いたら…僕が思う 以上に素晴らしかったけどね」 「…」 「一晩で、何度も抱きたいと思ったのは君だけだよ…僕たちの初めての夜を覚 えている?僕は一度だけでは飽きたらずに、嫌がる君を何度も抱いたよね?」 「…透也…」 「散々抱いた後でも、僕はもっともっと抱きたいと思った…本当に、君は僕の 欲望を果てしなくかき立ててくれる」 彼はそう言って甘く息をついた。 「君が、欲しくて堪らなかった」 透也は私の両頬に手を添えて、顔を上に向かせた。 「こんな気持ちになったのは君が初めてなんだ」 唇の上に彼の唇が滑る。 「僕のこの想いを、君が受け止めてくれなければ…僕は…僕は…」 透也の舌がぬるんっと私の口腔内に入り込んでくる。そして私の中をかき乱す 様に舌が蠢いた。 「とう…あ…ン」 強く抱きしめられて、荒々しく唇を貪られる。 透也の熱情に焼き焦がされてしまいそう。 「みのり…愛しているんだ…君だけを」 スカートの中に彼の手が滑り込んできて、ショーツを指で引っかけて下ろした。 透也は私の前にひざまずくと、私の繁みを分け入って蕾を露出させるとそこに 舌を這わせた。 「や…やん…駄目、透也…汚いよぉっ…お風呂、入ってから…」 「お湯が溜まるまでの間、待っていられない」 「とう…あっ…やぁん…」 ぴちゃぴちゃと彼が私のあそこを舐める。 舐めるの嫌いって言ったのに…。 「溢れてきてる…君の液体が」 蕾より後ろの体内への入り口に彼は唇を寄せた。 「もっと、やらしい液体出してよ…」 入り口を指で開かせて、透也は自分の舌をそこにねじ込んできた。 「んっ…あ…あぁ…」 腰に力が入らなくなってくる。 透也がぴちゃぴちゃと私を舐めてる…あの綺麗な唇で、舌で。 私の身体の中に透也の舌が入っていて、うねうねと動いている。 「あん…あぁん…透也ぁ…」 ちゅるっ、透也が私の液体を吸い上げる。 体液…変な味だからヤダって言ってたのに… 「ふっ…ふぁ…やあん…」 お腹の中が熱くなって身体が震えてしまう。 「とう…や…透也ぁ…」 立っていられなくなって私が床に腰をつけると、透也は私の足を大きく開かせ た。 「あっ…や…見ない…でぇ…」 恥ずかしいよ… 「どうして?君のココは…可愛いよ」 「お願い…こんな明るい所で…見ないで…」 私の懇願を聞き入れない様に、透也はまたそこに口を付けてくる。 ゆるゆると舌を這わせ、或いは蕾を唇で摘んだりする。 「や…やんっ…ああっ」 透也は顔をそこから離すと濡れた唇を舌で拭い、私を伏せさせる。 四つん這いになった私の背後に回り、透也はズボンのファスナーを下ろすと、 そこから彼自身を引きだして身体への入り口に当ててきた。 ゆっくり、彼が入ってくる。 私の身体が彼と擦れ合う摩擦にぶるるっと震えた。 「ンっ…はっ…」 「痛くない?大丈夫?」 「う…ウン…」 「…可愛いみのり…僕の、愛しの君…」 そう言って透也は私の臀部を撫で回す。 彼のすべすべした手のひらを皮膚が敏感に感じる。 「あー…あ…ああんっ透也ぁっ」 透也が覆い被さってきて、私の胸をやわやわと揉む。 「くふぅん…」 「みのりって…華奢な身体の割に…胸、あるよね」 「ふ…は…ぁっ」 「着やせして見えるから、実際見るか触るかしないと判らないけど本当にもう 君って子は…やらしい身体をしてるんだから…」 透也の熱の塊が私の身体を何度も出入りする。 「あ…あ…透也…ン…ぅ」 コンドームを着けていない彼のそれはダイレクトに内壁を擦り上げていく。 「透也…んんっ」 「あぁ…気持ち良いよ…みのり…」 「わ…私、も…」 身体の内部が甘い刺激に悲鳴を上げる。 びくんって私の身体が震えた。 「あっ…あはぁんっ」 「ふ…は…」 透也の艶めかしい吐息が私の耳をくすぐる。 「あんっ…あん…透也ぁ…」 気持ち良い…気持ち良いよぉ…意識が何処か行ってしまいそうになる。 ちゅっ 透也が私のうなじにキスする。 それからつつっと唇をそこに滑らせた。 あぁ…そこへのキスも気持ち良いよぅ… ぐるんっ、透也が円を描く様に腰を使う。 その変則的な動きに身体がゾクゾクした。 「はぁっ…や…ンっ」 駄目…だめ…良すぎておかしくなっちゃう… 透也の、気持ち良いよぉ… あ…ん…もっとして…もっと…うぅンっ 私はそれを頭の中で考えていると思っていたのにどうやら全部口に出して言っ ていた様で、透也にふふっと笑われた。 「僕も良すぎておかしくなってしまいそうだよ」 「あ…あふぅん…」 「君は本当に可愛い声で啼いてくれるよね」 「ふぅん…とーやぁ…もっとおちんちん入れてぇ…」 ふにゃふにゃになった思考の中で私が思わずそう口走ると、透也が動きをぴた りと止めた。 「はっ…どの可愛い口がそんなにいやらしい事を言うの?僕に顔を見せてご覧」 透也は私を床に寝かすと正常位で抱いてきた。 「ね…もう一度言ってみて」 「んぅ……欲しいのぉ…」 とろんとして透也を見上げると彼は笑っている。 「えっちな子だね君は」 「もっとしてぇ…いっぱい、突き上げて欲しいのぉ…」 「アルコールを飲ませすぎてしまったかな?」 ククッと透也は笑った。 酔いが回って来てるの? なんだか身体が熱くって…いつも以上にカラダが変な感じがする。 すごくやらしい気分になってる… 透也、とーや…止まらないで 私おかしくなっちゃうの 頭の中が、凄く変。 熱に冒されていくみたいで。 これ以上止まっていられると…私、変な事しちゃいそう… 「変な事ってどんな事?」 笑いを含んだ声で透也が言う。 あ、また口に出して言ってたんだ。 「してみせて?」 透也が言う。 う…ふぅ… 入ったまんまでどんな事をすればイけちゃうかって、私知ってる。 景ちゃんが、私を抱くとき、いつも入れながらクリトリスを触ってきてたもん。 そうすると気持ちが良くってあっと言う間にイッちゃうの。 「成る程ね。やっぱり奴はそういう抱き方をしてたんだ…で?君はどうするの?」 透也は自分の腰に手を置いて、見下ろしてきた。 どうって… 私は、そろそろと自分の指を蕾に触れさせた。 くふぅん… 蕾を軽く撫でてそれからきゅきゅっと擦る。 内壁がきゅうんっと締まって透也の塊を感じる。 あ…ふぅ… 「空いている方の手で胸を揉んでみて」 透也の声が降り落ちてくる。 言われたままに左手で自分の胸をやわやわと揉んだ。 んーぅ…あ…はぁ… 右手では蕾をぐりっと擦る。 身体が仰け反った。 「ああっ…」 「やらしい格好…気持ち良い?」 「んっ…んっ…」 腰を揺すると内壁が透也と擦れ合う。 その刺激と、蕾への刺激で気持ちが良い。 はぅ…うううんっ… 「オナニーしてるみたいだね」 透也は相変わらず微動だにせず、私を見下ろしている。 はぁはぁ…透也ぁ… 身体を揺する。 「エロイ」 ふっと透也が笑う。 笑ってないで動いてよぉ… 「意地悪ぅ…」 「そうだね」 私はぐっと透也に腰を押しつける。 もっと深い場所に彼が欲しい。 揉んでいた胸の先端部が洋服越しにでも判るほど硬くなってきていて私はそれ をくりくりと弄った。 「…洋服、脱ぐ?」 透也が私のブラウスのボタンを外しにかかる。 ぷちぷちとボタンが外されて胸元を開かれる。 背中に彼の手が入り込み、ブラジャーのホックがぷちんと外された。 胸元が楽になる。 「さ…直に触って見せて」 パープルの瞳を甘く瞬かせながら透也が言った。 私は左手で自分の胸を揉む。 柔らかな弾力がゴム鞠か何かみたい… その先端部が妙に敏感で擦れる度にジンジンした。 そして右手では蕾の部分を弄る。 甘い甘い感触。 指でくりくりする度に甘さがそこから広がっていく。 そして体内には透也の熱… う…うふぅん… どんどん気持ち良くなっていく。 私は蕾が触れている右手の動きを速めた。 いっぱいいっぱい気持ち良い。 溶けちゃいそう。 ふは…はぅん…あぁ… 下半身が凄く熱い。 頭の中が真っ白になっていく。 「い…イッちゃう…ン」 ひくんって身体が跳ねた。 透也は静観しているみたいだから、私が達してしまうのを許してくれるのかと 思っていたら、あともう少し、っていう所で右手を掴まれて動きを制された。 「ああぁんっ」 「ダーメ」 「どうしてぇ?」 「僕が、イかせてあげるから」 透也はフッと笑った。 「なかなか良いショーだったよ。淫らで、最高」 彼は私の肩に手を置いて、ぐぐっと体重を身体の中心にかけてくる。 「あふぅん!」 熱をもった内部が発火してしまいそうに熱かった。 「と…や…透也ぁ…」 「君、酔わせた後で抱くと面白いね」 「ふ…ぅ…あぅん…あぁ…」 「初めて君を抱いた時も酔っていたよね。あぁまぁ、僕が酔わしたんだけどね でも本当、淫らになっちゃうみたいだね酔うと」 透也が私の髪を指で梳いてくれる。 彼が触れてくれると髪も気持ちが良い… 「んふぅん…透也…ちゅってして」 「甘えた声出しちゃって…何処にキスして欲しいの?」 「くち…」 「OK、いいよ…」 透也が私の唇にキスしてくれる。 …透也の口、好き。 ぺろっと彼の唇を舐めた。 温かくて柔らかい唇。 感触が心地良くてダイスキ。 私の舌につんっと透也の舌が触れる。 それから絡め合って、お互いの口の中を貪りあった。 こういうキスをね、許すのは君だけなんだよ本当にねって透也が言った様に聞 こえた。 そんなに他人の唾液が嫌いなの?って聞いたら、 セックスはするけどキスはしない主義だったよ…あぁ今聞いた事は忘れてって 透也が言った。もう聞いちゃったもん。あーでも覚えていられるかな… 頭がぼぅっとする。 君と初めて寝た時は、初体験の時よりも興奮した。とも、彼が言った。 男の子の初体験ってどんな風なの?初めからキモチイイの? 初めからキモチイイよ。女の子は可哀想だね痛いんでしょ?と透也が言う。 痛いよ。ぐさっと刺されてどばっと血が出たって感じ。と私が言うと透也が笑 った。透也は処女の子を抱いた事はあるの?って聞いたら、またそう言う事聞 いてくるって苦笑いした。 「でもまぁ、処女の子を抱いた事は無いよ。僕って優しくないから初体験の子 には向いてないタイプの男だよ」 「透也が優しくない?」 「うん…僕は他人に優しくない男だったよ、まぁ今も本質は変わっていないか もね」 優しくないって言われてみればそうかもしれない。 いつも何処か意地悪で、私の事を翻弄してやろうって思っている感じがしなく もない。 「…透也は、私が処女の方が良かった?」 私はなんとなくそんな質問を透也に投げかけてみた。 「君の初めての男になるっていうのも魅力はあるけど、もし君が処女だったら 僕は惹かれていなかったかも知れない。花は薫るからこそ手折りたくなるもの だよ」 「ふぅん…」 「今の君は、とても心配なんだよ。美しく咲き誇る花だから」 「心配?」 「レンヤは多分、君を抱きたいと考えているだろうからね」 「えー…あの人がぁ?」 「君には男の本能をくすぐる何かがあると思う」 そう言いながら透也は私の首筋に舌を這わせた。 「んっ…ひゃぅん…」 「誰にも君を奪われたくない」 「んっ…ぅ…あん…」 「…僕が君を奪った様に、君を誰かに奪われてしまいそうで、僕は…怖いんだ」 怖い? 透也が? 私は透也を抱きしめた。 「私…景ちゃんを傷つけてしまった事は一生忘れないと思うの、だからもう二 度と、私を愛してくれた人を裏切って苦しめて哀しませたくないの」 「みのり…」 「もう…透也以外は愛せないよ、愛したくない」 同じ思いをもう二度としたくない愛情の板挟みに遭うのはもう嫌 「だから、私を離しちゃ嫌だよ」 「離す筈がない」 ぐんっ 透也が身体を落としてくる。 深い場所に透也を感じる。 気持ちが良くて私は声を上げる。 …透也 私が奪われてしまったのは、それが貴方だったからだよ。 この人とはウンメイの糸で繋がれていると信じたい。 繋がれている人は、この世でたったひとりなんだよ。 だからもう私は誰にも奪われない。 透也 透也 透也 貴方を想う以上の愛が、存在するなんて思えない。 「くふぅん…」 「色っぽい顔をしちゃって…本当にもう…君は…」 くちゅんくちゅん 透也と私が交わり合う音が響く。 いっぱい濡れているのに凄くキツイ。 …景ちゃんが標準で透也が大きいのか、透也が標準で景ちゃんがそれ程でもな かったのかどっちなんだろう? 「とーやのって大きいの?」 「…え?」 「透也のアレって大きい方?」 透也が笑う。 「さっきまでそのものずばりの名称を言っていたのにもう言わないんだ?正気 に戻ってきた?」 こんな事を聞く位だから正気ではないと思う。 「僕は白人の血が混ざっているから、日本人の平均的なそれよりは大きいと思 うよ?」 「そうなんだ」 「君の小さな場所に僕を入れる事は少々君の負担になっているのではないかと 思うのだけれど、どう?大丈夫?」 「ん…全然へいき」 「そう、良かった」 「透也の、すっごく気持ち良いの…」 「君は本当に、僕のナニの事は良く誉めてくれるよね」 透也はククッと笑った。 「…意地悪」 「本当の事だろ?余程好きみたいだね」 「…」 私が口を尖らすと、彼が笑う。 「ま、僕のどの部分でも君が好いていてくれて、君を繋ぎ止めておく事が出来 るのなら、僕は本望だけど」 「…私が好きなの、透也の身体だけじゃないよ…」 そう言うと、透也はその紫色の瞳でじっと見つめてきた。 「うまく言えないけど…私、透也の全部が好き」 「…ありがとう」 「本当だよ?」 「うん」 透也は柔らかく微笑んでくれた。 昔は見せなかったこんな透也の穏やかな笑顔。 今は少しでも私に気を許してくれているのかと思えて安堵できる。 「透也…大好き…」 ちゅっと透也が額にキスをしてきた。 「僕も君が好きだよ…誰よりも、何よりも」 透也が腰を浮かす。 私の上部に彼のそれが擦れて、声を上げる。 先程限界近くまで到達していたので内部は敏感になっていた。 「ああっ…とう…やぁっ」 「君がどんなに僕を嫌がっても、僕は君を離さない」 「あっ…うぅ…ン…はな…さ、ないでっ…」 透也の腕の中にいつまでもいつまでも居たい。 深く、浅く、彼は私を翻弄するように動いた。 私も彼の動きに合わせるように淫らに腰を揺らした。 「…くっ…」 透也が眉根を寄せる。 私の身体で感じてくれているのが判って嬉しい。 甘い吐息が彼の綺麗な形の唇から漏れ出ている。 息を乱し、何度も何度も身体を揺らす。 透也が欲しい。 もっともっと欲しい。 「くふぅんっ…」 私の胸の先端を透也が吸い上げた。 快感が全身を巡る。 ちゅっちゅっと小さく吸い上げて、それから舌で転がすようにして先端部を弄 る。 そこから湧き出る快感が、内部の快感をより強めた。 透也、透也、もっと抱いて、もっと私を愛して 貴方の熱で、私を壊してしまって。 「ん…ぅ…」 透也が小さく呻く。 ふるっと震えて溜息を吐いた。 「だめ…僕が負けてしまいそうだよ…君はもう喋ったら駄目だよ…」 透也がちゅっと私にキスをする。 だけど、言い足りなくて心に溢れる物を口から吐き出してしまいたかった。 彼の唇が私の唇から離れると私は言う。 「透也を愛しているの…貴方となら、私、どうなっても構わないの」 透也が私の口を手で覆った。 「喋っちゃ…だめって言ったでしょう?」 甘く滲んだ瞳で彼が言った。 透也… 「そんな…瞳で僕を見つめないで…本当に、僕はどうにかなってしまいそうだ」 透也、大好きだよ。 心が震えて泣いてしまいそうになる。 もう、本当に貴方が愛おしくて… 「…あぁ…みのり…僕の愛しい人…」 くんっと最奧に彼を感じる。 繋がっている部分が熱い。 「んく…ふ、あぁん…あん…あっ」 透也と、私…繋がってる。 私は自分の下半身に手を伸ばして、透也と自分が繋がっている部分に触れた。 裂け目を分け入る様にして透也の熱くて硬いものが入っている。 透也が、私の中に入ってる… こうやって私達、ひとつの物になっている。 ぴくんっと透也が震えた。 「ああっ…くそ…みのり…っ」 何かを堪えるように透也が瞳を伏せる。 「なんで君はこんなにも可愛いんだ…」 透也は滅茶苦茶に私の中を出し入れさせる。 でもきちんとスポットには当てられていて、私は気持ちが良くてあられもない 声を上げた。 「みのり…みのりっ…」 「あっあっ…ああん…あ…ふぅ…とーや…ぁ…」 透也の逞しいモノが私を突き上げる。 心にある切なさが、余計に快感を大きくさせていた。 「いっちゃ…いっちゃうよぉ…」 「イって、みのり…僕も、もう…もちそうに…ないっ」 透也の乱れた声にゾクゾクっとした。 「透也…透也ぁ…愛してる…大好きだよぉっ…」 涙が溢れて零れた。 本当に本当に、大好きなんだよ… 貴方だけ、愛してる。 他の誰かなんて要らないの。 透也だけが… 「はぁああん!!」 内壁がきゅううんっと収縮した。 透也の硬さを一層強く感じる。 「み…みの…りっ…」 切ない声で彼が私を呼ぶ。 その声が、本当にセクシーで… 「ああああっ!」 私の中が切なさでいっぱいになる。 心も、身体も… 身体が仰け反った。 弾ける快感にぞくんっとする。 「ふっ…う…あぁ…」 透也が強く私を抱きしめて、ふるふるっと震えた。 「んっ…ン…とう…や…」 私もぎゅうっと彼を抱きしめた。 |