隷属の寵愛　１１

　普通にしていても香るくらいの色気があるのに、今の彼は見ているだけで意識がもっていかれそうになるほどの色気を纏っていて、リディアはいっそう乱される。
「……わ、たし……もう……」
「まだだと言っているよ」
　嫌だというように首を振り続けるリディアをたしなめるようにしてから、キースは唇を寄せ、花芯に口付けた。
　乳首に舌を這わされたとき以上の快感に、リディアは堪らず声を上げた。
　彼女の内部を暴くように押し開き、挿入してくる舌の感触に腰が甘く痺れ、リディアの身体が震えた。
「あ……っ、あぁ……キース様」
「いい？　もっとして欲しいか」
　濡れたような彼の声色に、リディアの情欲が煽られる。
　幼心をときめかせたおとぎ話の王子様さながらに美しい男が、自分の下腹部をぴちゃぴちゃと音をさせながら舐めている。
　その音の正体は彼の唾液なのだろうか、それとも――。
　硬くなった花芯を舐め続けながら、キースは柔肉が重なっている場所を開き、ゆっくりと指を挿れた。
　ずず……っと入り込んでくる指に濡襞は痛みを覚えたが、身体の奥の疼きが増して、指との摩擦で生まれる痛みなど些細なものだった。それどころか欲しくなる気持ちが爆発的に膨れあがる。
「ん……っ、う……」
「……快楽に従順な身体だな。そんな"あなた"も愛おしく思えるよ」
　キースは、リディアの足の甲にそっと口付ける。
「あぁ……、いやっ」
　ちゅっと彼の唇は彼女の足の指を咥えこみ、そうしながらもキースの指はリディアの内部を抜き差しする。
　指を挿れながらも、親指の腹では敏感な花芯を撫でてくるから、彼女の内部からはさらなる快楽を要求するようにして、粘着質な蜜が溢れ出す。
　足の指を丹念に舐められるとくすぐったいと思う感覚が、他の場所への刺激を敏感にさせるようで、内壁がうねり収縮しては彼の指を奥まで飲み込もうとした。
「あ、ぁ……」
　気がおかしくなる。
　彼の指や舌や唇が、そして吐息さえもリディアを刺激し官能の世界に深く沈めようとする。
　熱にうなされ喘ぎ、たどたどしくキースを求めれば、彼は優しく口付けてくる。
「や……っ、もっと、痛くして……」
「どうして？」
「そうでないと、消えない……」
　身体で燻り続けるもの、ツキツキと疼いているものが払拭されない。これがずっと続くのはどんな責め苦よりも辛い。
「痛くなる必要はないよ。辛いなら、辛くないようにしてあげよう」
　再びリディアの花芯を舐め始め、柔肉の奥を彼は指で擦った。
「……っ、あ……や、ぁ」
　鈍い痛みを感じたのはほんの一瞬で、キースの指が奥を押し上げるようにして擦ると体内で何かが溜まっていくような感覚に襲われる。
「キース様、それ……や……」
　腰がぶるっと震えた。
　溢れそうになるものを、溢れさせて良いのか判らない。
　けれど、それを吐き出してしまえば楽になるように思えた。
"楽である"というよりも、それが追い求めているものの正体だと感じる。
「あ……ぁ……あ、や……あふれ……ちゃ……ぁ」
「いいよ、リディア」
　優しい声なのに、ぞくりとさせられるキースの声。
　朦朧としていく意識のなかで、彼の舌や指の感触だけはやたらとはっきりとしている。
　欲しいと思う気持ちが最高潮に達したとき、リディアはリネンを強く握りしめ自分の体内から溢れ出る強い快楽に、嬌声をあげた。

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