「絢樹、やめて」 俺に投げつけられた彼女の拒否する言葉が俺の胸に突き刺さってくる。 どうして? 何故? 俺が“欲しい”と焦がれるほど思っているのにあなたは拒絶するの。 温かく、優しく包むように抱いて欲しいと俺が願えば願うほど、遠くなって いくのはどうして?? あなたの腕だけが欲しいと望んでいるのに、何故離れていこうとするの?? 「どうして? しようよ、セックス。いつもしているじゃない、どうして今日 は拒むの」 「雨、降ってないでしょ」 「だから何? そんなの知らない」 みなみさんのスカートの中に手を入れると彼女は身体をびくりと震わせ、頭 を振った。 「や、やだ」 「おとなしくして、ひどいことされたいの? 俺を我慢させたらひどくなるっ てあなた知っているでしょう」 「雨の日だけって言ったじゃない!」 「雨の日は絶対というふうには言いました。でも雨の日だけだと俺が言ったこ とはない筈です」 雨の日だけだと繰り返し言う彼女の言葉に心が抉られていくような感じがし た。 その痛みに気が狂いそうになる。 身体に痛みを感じてもさしたダメージになるものではないと思っていたのに、 心に与えられる痛みは何故こんなにも大きなダメージになるのだろう。痛みを 感じれば感じるほど俺は性急に彼女を求めた。 癒される行為ではないと判っているのに、みなみさんの柔らかな身体の中に 身を沈めなければ、俺はどうにかなってしまいそうだった。 明確に繋がることが出来るのは身体だけだと知っているから余計に俺は彼女 の身体を欲し、何のためらいもなくみなみさんの体内に己を突き入れた。 ぎち、とした感覚。 受け入れる体勢が整っていなかった彼女の体内は俺が入り込むことで悲鳴を あげているようにも思えた。 「う……っん!」 「あなたも俺を捨てるのか」 「……ん、あ……や、ぁ」 緩やかに腰を使うと、徐々に彼女の体内が俺に馴染んでくる。 粘着質な水音が結合部から聞こえてきていたが、それがみなみさんが感じて いるから濡れてきているんだという馬鹿な考えは浮かばない。 身体がダメージを少なくする為に適した対応をしようとしているだけだ。 そうだと判っているのに、みなみさんが甘えたような声を漏らせば気持ちが 揺らされる。 濡れた場所に何度も俺を突き入れて腰を振れば、彼女は甘い息を漏らす。 ────誰にも、みなみさんを渡したくない。 彼女が誰かの身体の下で、こんなふうに頬を赤く染め潤んだ瞳で堪えようと しても堪えきれずに声を漏らすのかと、一瞬想像しただけでも、こちらの気が おかしくなりそうだった。 受け入れるんだったら俺だけにしてよ。 他の男に、同じような感覚を渡さないでよ。 欲しがるように中を動かして淫靡な感覚に陥れるのは俺だけにしてよ。 すぐにでも出てしまいそうな射精感に襲われ、感覚の赴くままに出してしま おうかと一瞬狂った考えに揺るがされたが寸前で堪えた。 射精感を逃そうと、ゆっくりと動くと彼女が身体を震わせ声を漏らす。 みなみさんはもう“嫌だ”とは言わず、俺の身体の動きに合わせるようにし て身体を揺らしていた。 「気持ちいい? 俺は……いいですよ、凄く。あなたの中きつくて、それにぎ ゅうぎゅう俺を締め付けてくる。ねぇ? 本当は俺にこうされるのが好きで好 きで堪らないんでしょう?」 “そうだ”と言って欲しいのに、みなみさんは首を振る。 俺だけにされたいと言って欲しいのに彼女はそれを言ってはくれない。 求められていない。 好かれていない。 愛されていない。 思い知らされてきた現実が、今は痛くて堪らなかった。
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