「……っ」 背中に感じた織川の一部分に急速に彼が男であることに気付かされる。 恐れや怖さはないものの、何故かひどくもどかしさを感じてしまう。 身体の内部は彼の指で満たされているというのに。 「ナカがきゅっと締まったね」 織川は笑いながらも、緩やかな指の抽送を止めない。 「優月の内部って、気持ち良さそう」 柔らかな声の主が甘く囁き、優月はその声色に溶かされそうだと感じた。 身体は彼の愛撫ですっかり溶けきっている。 頭の中も、彼が何か言う度に甘く溶かされているような気がした。 どろどろになってしまっている。優月の頭の中も、あの部分も。 「も、もう……いや……」 ささやかな抵抗の声を優月が上げても、行為を止めないまま織川は静かに笑 うだけだった。 薄暗いバスルームで、背後から抱きしめられている為に優月からは彼の表情 が見て取れない。 小さく笑うような気配だけが彼女にも感じ取ることが出来る。 織川が至極楽しそうに、それでいて意地の悪そうな表情をしていることに彼 女が気がついたらどう思うだろうか。 持て余すほどの悦楽のせいで、状況がどうであっても優月に彼を観察するよ うな余裕などないのは確かだった。 緩やかな指の抜き差しで内部は熱く、止まない花芯への愛撫で今まで知るこ とのなかった大きな快感の波が押し迫ってくる。 その波に合わせることも、振り切って逃げることも今の優月にはかなわず織 川に導かれるままに飲み込まれていった。 「んっ……うぅン!」 身体の中ではじけた甘く大きな快感に優月は声を上げ、ぶるりと震えた。 織川の指を咥えこんだままの内部が大きく蠢く。 「気持ち良かった?」 笑いながら彼は息を乱している優月に聞く。 「わ、かんない」 他人から快楽を与えられることを知らなかった優月がそんなふうに答えると 織川は、ふっと笑った。 「そうか、判らないんじゃ、判るようにしてあげないと駄目だな」 指を彼女の体内から引き抜くと、織川は彼女をやすやすと抱え上げてバスル ームから出る。 一旦パウダールームで優月をおろし、リネン庫から新しいバスタオルを取り 出すと彼女を丁寧に拭いた。 「……あ、の……瀬那?」 「うん、ベッドルームに移動するからね」 「ベッドルームって?」 彼は優月を拭き終えると、今度は自分の身体をざっくりと拭いた。 「ああ、風呂に入る前にいた部屋のこと」 「え? あそこ……瀬那の部屋じゃなかったの?」 「うーん、俺の部屋ってのは嘘ではないんだけど」 織川は曖昧に答えると再び優月を抱え上げた。 痩身に見えて彼の身体は逞しく力もあるようで、どうにも織川のイメージが ぶれてしまって仕方がないと優月は思った。 スタイルの良さは服の上からでも判ったが、筋肉のつきかたは想像もしてい なかった。 分厚い筋肉で覆われた肉体というわけでもなく、程よくついて引き締まった 彼の身体は美しいと思えるぐらいのそれであり、他と比べるものがない優月が 見ても心が震えるほど魅了された。 堪らなくその身体に甘えたいと思う感情が優月の中に生まれる。 女性よりも硬い身体ではあるものの、柔らかく温かな人の皮膚の感触が心地 良いと感じ、ずっと触れ合っていたいとさえ思える。 甘い誘惑の色はより濃くなっていった。
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