******* 「そろそろ、寝るかな。明日も早いし」 「そうですね」 沙英はにっこりと笑って、マグカップを2個手に持ちキッチンへと向う。 さらさらとした長い髪が揺れる彼女のうしろ姿を目で追った。 何を焦っているんだろう。 まだ一緒に住み始めたばかりで、…というか、付き合い始めたのだって つい最近の事なのに、この世の終わりと言わんばかりの焦りっぷり。 焦ったら駄目だと、自分に言い聞かせ時間をかけて沙英に近付いていっ た俺だった筈なのに、手に入れたら入れたでこれだ。 「和瑳?」 カップを洗い終わったのか、沙英が俺の所まで戻ってきた。 「あぁ、うん…寝ようね」 ソファから立ち上がり、彼女と一緒に奥にある寝室へと向った。 初めて一緒に寝た日から、別々に寝るという事は無くなった。 俺が一緒に寝るという事を求めているから沙英は応じているだけなのだ ろうか。 「他人と一緒に寝るのは、寝苦しくはない?」 「私は…大丈夫ですけど、和瑳は寝苦しいんですか?」 「いや、そうじゃないよ。嫌だなとか感じてないかなと思ってね」 「平気ですよ」 沙英は俺にその小さな身体を寄せてくる。 「こうやって、和瑳の体温を感じると、すごく安心して眠れるんです」 「そう」 「だから、イヤだとか、思ってないです」 「うん、それなら良いんだけどね」 「…他人と一緒に寝るって事、なかったから余計に」 「え?」 「あ、その、変な意味じゃなくて…親に添い寝とかして貰った記憶とか も無いので」 「ふぅん」 彼女は潤んだ瞳を俺に向けている。 じっと、少し上目遣いで。 「何?」 「…お願い事を…しても良いですか」 「お願い事?良いよ、何?」 「……疲れてなかったらで、良いんですけど、あの」 「うん」 「抱いて、欲しいです」 まだ部屋の明かりを消していなかったから、沙英が顔を赤らめるのが良 く判った。 恥ずかしそうに言う様子が可愛かった。 俺はまた、”それは君の意思なの?”とか余計な事を言いそうになった から、自分の口を塞ぐ意味でも彼女の唇に自分の唇を重ね合わせた。 溶けるように身体を重ねあう。 快楽に意識も溶かされていく。 沙英の柔らかな身体が、俺を咥え込んでいる淫らな現実。 彼女を上にし、形の良い胸が揺れる様を眺めた。 「もっと、動いて」 「…ん、ぁ…和瑳…ぁ」 「俺が入ってるの、判る?」 「は、い…凄く、熱い…です」 「熱いだけ?」 沙英の腰を掴んで揺さぶる。 内壁が与えられる快感を悦ぶようにして俺のそれを締め付けてきた。 困った事に、沙英の身体は抱けば抱くほどに俺に馴染み、イイ感じにな ってきていた。 勿論、初めて抱いた時だって凄く良かった。 だけど、今はそれ以上だった。 女の身体ってこんなんだったか?と思わされるぐらいの内部の感触。 柔らかくて圧迫が凄い。 そしてその圧迫や締め付けは、沙英が乱れれば乱れるほど強くなってい く。 「や、やぁ…っん…あぁ」 「嫌なら止めるよ?」 俺が動きを止めると、焦れる様に沙英が腰を動かす。 「いや…やめ…ないで…」 「そんなに欲しいの」 「んっぅ」 身体を揺さぶると彼女は、ふるっと震えた。 「欲しいのか、って、聞いてるの」 「ん、ん…欲しい…です」 「やらしいね、こんなにココ、濡らして」 彼女が咥え込んでいる部分をわざと指で開いてみせる。 沙英をやらしいと思ってるのは本心じゃないにしても、その部分が半端 なく濡れているのは真実だった。 広げた部分から、彼女の体液がとろりと零れてくる程に。 沙英の身体がここまで反応するまでにさせたのが自分なのかと思うと、 支配欲がいくらか満たされる様な気がした。 溢れる快楽。 その快感の海に、何処までも沈めさせたい。 溺れるほどに。