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● 熱情の薔薇を抱いて --- ACT.35 ●

  

「沙英、ごめん、泣かないで」
「…何に、対しての謝罪なんですか?和瑳が謝る事なんて、何もないの
に」
「ん、いや、沙英が敏感になっているのが判っているのに失言した事に
対しての謝罪、仰向けになって」

彼に言われるがまま、身体の向きを変えた。
本当は、泣いてしまっているから後ろからされてるままが良かったのだ
けど。

「君が見えていないだけで、俺は十二分に感じているし、溺れているよ。
その事を、まあ、言おうと思ったら、触れてはいけない部分に触ってし
まったというわけなんだけど」
和瑳は静かにそう言って笑った。
「ごめんなさい」
「君こそ、何に対しての謝罪?」
「自分の感情が、抑えられないんです…だから」
「良いけど、そんなの全然構わない」

和瑳は、また、ゆっくりと私の中に入ってくる。
指先まで、痺れてしまう様な快感に襲われる。

和瑳を愛しいと思うほどに、愛されたいという気持ちが強くなっていく。
愛されたい。
もっともっと愛されたい。

―――――もっと。

零れてしまいそうになる言葉を私は飲み込む。

「和瑳が好きです、凄く、凄く、好きなんです」
「ああ、俺も、沙英を愛しているよ」
「和瑳っ」

身体に与えられる快感に目が眩む。
意識が保てなくなっていく。

「もっと、もっと…」
「気持ち良いの?」
「は、い…だから、和瑳にも、感じて、貰いたい…です」
「凄い感じてるよ、嘘じゃない」
「はい」
目を開けて彼を見ると、和瑳は小さく微笑んだ。
「余裕、なくなるぐらいにね」


気持ちも、意識も遠くなる。
狂ってしまうんじゃないかと思える位の激情と快感。

どろどろに溶けていく理性。

繋がってる部分が熱い。

「ん…、あ、沙英」
いっそう強く、内部にある彼を感じた。
私がそれを強く感じれば感じるほど、和瑳が息を乱す。
「きつい、な。そんなに締め付けないで」
「わ、かりません、どうしたら、いいか」
「ん…、まぁそうなのかな」

彼が私の内部を探る様にしていたのに、その動きを止めて一点に集中す
る様に動きを変えた。

「あっ、ん」
「ちょっと、もう、もちそうにないので」

乱される意識。

彼は容易に私を溺れさせる。
もっと、和瑳にだって溺れて貰いたいのにいつだって沈められるのは私
の方が先で。

「和瑳、和瑳も、もっと…」
「……ん」

意識の限界点。
そこまで来てしまえば後は弾けてしまうだけ。

その弾ける瞬間に襲われる快感に、全部さらわれてしまう。

「ああっ!」

痛みにも似た、甘すぎる衝撃に気を失いそうになる。

「沙英、本当、君は…可愛いね」
「あっ、あ、だ、め…和瑳…もう」

頂点に達した身体をなおも貫かれ、強い衝撃に気が触れそうになる。

「だめ、だめっ、も…」
「気持ち良すぎる?それとも辛い?」
「わ、かん…なっ、あっ」
「…ン、沙英…良い表情…」
激しい律動。
繰り返し与えられる強すぎるその快感。
「君の方こそ、もっと感じなよ、もっともっと狂いなよ、俺に抱かれて
おかしくなってしまいなよ」
「そ、んなの」
とっくだ。
とっくに、自分が自分では無くなってしまう位、意識は飛んでおかしく
なってる。
そしてそれは、その時ばかりではなく、されてない時だって私を狂わせ、
欲しい欲しいと身体中がざわめいてしまう程だ。なのに和瑳はそれ以上
を求めるの?
「和瑳、もうだめ、もう、本当に、壊れちゃう」
「痛いという意味なら、止めてあげるけど」
彼は少し乱れた息の中でそんな風に言って笑った。
「やっ、や」
身体の痺れは強くなり、頂点を迎えてもう終わったと思われた衝撃が再
びやってくる。
「沙英、可愛い。好きだよ」
「好きです、けどっ、あっ!」
貫かれている実質的なものは和瑳のそれだったけれど、大きな波が起き
て、甘く、痛みを持った快感にも私は貫かれた。

「んっ、あ、あっあぁ、あぁ」
「…ん、またいった?いく時の君の顔って本当…色っぽいよね」
「いやぁ、も、和瑳、お願い」
「ああ、終わらせて…あげる」

最奥を突かれて、また私はちいさな頂点に持ち上げられてしまった。



******


「沙英はもっともっとって言うけど、俺は求めたら際限なくなってしま
うよ?」
すっかり重くなってしまった私の身体を彼は撫でながら言った。
とてもではないけど、起き上がる事なんて出来ない。
「…相手が、君だから」
和瑳はそう言って小さく笑う。
「わたし、だから?」
「ねぇ、沙英」
彼の大きな手のひらが私の頬をそっと撫でる。
「君に与えているからと言って、今までもそうしてきたんだろうとか、
思わないで。相手が沙英だからしている部分が多いんだよ」
「…え?」
「君だから、何度だって欲しくなる」
和瑳は笑った。
「…愛してるって言葉も、全部、同じじゃない。君を求める気持ちも、
愛しているという言葉も、俺にとっては特別なものなんだ」

”特別”

その言葉に、心が震えて涙が零れた。

和瑳、私、私貴方の―――――。

言いたい言葉がまた溢れてきそうになる。
堪える為に唇を噛み締めた。

「沙英」
「愛して…ます、和瑳」
「ん、愛してるよ」


貪欲な私の心。

和瑳の全部が欲しい。
心も、身体も、全部。

でも、それだけでは足りないと叫ぶ自分の心に、私は戸惑うしかなかった。




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