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● 熱情の薔薇を抱いて --- ACT.39 ●

  


俺に身体をぴったりと寄せて、それから彼女は言った。

「和瑳、私、和瑳だけが好きなんです」
「俺も、沙英が好きだよ」
「……」
沙英はきゅっと唇を結んだ。
「沙英?」
「…ずっと、傍に居て下さい」
「うん」
俺の返事に彼女は少しだけ微笑んで見せた。
つられるようにして、俺も微笑んだ。

”ずっと”の時間の長さが、俺と沙英とでは同じ長さなのだろうか?

俺の中にある、永遠を望む気持ちと、沙英のそれは同じものなのだろう
か?
押さえようとしている激情に、流されそうになる。

彼女を抱き締めて口付けた。

柔らかな温度。
そしてその温度が沙英のものだと意識してしまうと、一気に想いが加速
する。
追い求める感情。
ずっと彼女が欲しかった。
向けられたい想いがあった。

―――――ただ、好かれたいと。そんな風に思っていたのはつい最近の
事だったのに、今ではただ好かれるだけでは足りなくなってしまってる。

沙英が欲しい。
その存在全部を、独り占めしてしまいたい。

押さえようとすればするほど、その感情は強くなっていく。

”我慢なんて出来ない”と、ずっと叫び続けている俺がいる。
そして、そんな俺を押さえつけている”俺”も同時に存在した。

そんな感情は苦しくて堪らない。
だけど手放したいとも思えなかった。

欲求し続ける想い。

誰かに対して強い感情を抱く事は初めてだった。
押さえても押さえても、抑制しきれない感情が溢れている。

俺の事だけ見て欲しい。

あの雨の日より前にはもう戻れない。
その瞳に映す人間は、俺でなければ我慢が出来ない。



「ん、か、和瑳」
キスの合間に彼女が苦しそうに声を上げた。
気が付けば、そのキスは穏やかなものではなく、沙英の後頭部を手で押
さえつけるようにして深く口付けていた。
「嫌なの?」
かろうじて笑って俺は言う。
「嫌じゃ、ないです」
「だったら、俺を全部受け止めてよ」
「あっ」
沙英が小さく声を上げる。
指が触れた彼女のその部分は、俺が思うより滑りがよくなっていた。
「なんで、こんな風になってるの」
「だ、だって」
「だって、何?また俺に抱かれる事を想像しながら一日過ごしてたの?
やらしい子だな、君は」
内部への入口はすんなりと俺の指を吸い込んで中まで導く。
「あっ、ぅ」
「こんなに熱くさせて」
俺の言葉に応じるように、その内部は指を締め付けてくる。

男を受け入れる事に慣れていないから、彼女の中はきついのかと思って
いたけれど、回数を重ねても一向に俺を締め付けてくる感じは緩くなら
ない。
それどころか、貪欲に吸い込んでいる、そんな感じさえした。

感情以外の部分でも、彼女は今までの女達とは違うと思えた。

夢中にさせられる。
その身体でも。

甘い声で啼いて俺を誘う。

「和瑳、お、願い…です」
「何が?」

潤んだ大きな瞳で俺を見上げてくる。

俺にスイッチが入ってしまう瞬間だった。

「何をして欲しいの、言いなよ」
「いれ、て、欲しい、です」
「入れてるだろ?」

彼女の中に入っている指を掻き混ぜるようにして動かす。
沙英は激しく首を振った。

「違います、意地悪、しないで下さい」
「言えって言ってるの」

彼女は俺に抱きついて、小さく囁くように耳元で言う。
俺は笑った。
「生で抱いて良いんだ?」
彼女の返事を待たずに、その細い腰を少し浮かして自分のそれをねじ込
んだ。
「んぅ!」
ひくっと沙英の身体が跳ねる。
内部の熱がダイレクトに俺に伝わってきていた。
「こんなの許して、俺が中で出したらどうする気なの?」
絶対そんなのはする気はないけど、ダイレクトに感じる内部の感触は少
しでも気を許してしまえば、その可能性はゼロではなくなる。
言っているのに、沙英の身体が小さく揺れる。
「でも、だって…」
彼女の甘える声に背中がぞくりとした。

泣きそうな沙英の表情は更に俺を誘ってきていた。

彼女の内部の感触を惜しむようにして何度か抽送した後に自分を引き抜
いた。

「続きは向こうでしよう」

彼女がどうにかなる前に、こっちが熱に浮かされてしまいそうだった。






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