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● 熱情の薔薇を抱いて --- ACT.8 ●

  

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「今度バブルバス買っておこうか、沙英そういうの好きだろ?」
お風呂にお湯を溜めながら(と言っても自動でスイッチひとつなの
だが)彼は言う。
「好き…ですけど」
「今日の所は温泉の素でも入れとくかな、”草津の湯”で良いか?」
「良いです」
「どうでも良さそうだね」
ふっと彼は笑った。
「…この状況、で…お風呂に入れる入浴剤の事まで気にしていられ
ません」
既に、私も、瀬能さんも服を着ていない。
その事を彼は全く気に留めていない様子だけど、私は凄く気になる
のだ。
自分の裸を見られるのに慣れていなければ、瀬能さんの裸を見る事
にだって勿論慣れていない。

彼の下半身を直視する勇気だってまだ無い。

「ふーん」

ついっと彼は近付いて来て、隠そうとしている私の腕を解いた。
「は、恥ずかしい、です」
「みたいだね、顔が真っ赤」
「見られるのに慣れてないんです」
「俺だって別に慣れてる訳じゃないよ」
くすっと彼は笑った。

それから、つ…と指先を私の身体のラインに滑らせてくる。

「可愛い顔してるのに、やらしい身体」
「やらしいとか、意味が判りません」
「だって、細くて小さいなぁと思ってたら、胸だけはこんなにたっ
ぷりとしててさ」
そんな事を言いながら、やんわりと私の胸を揉んでくる。
「そ…んなの、言われても、好きでこのサイズじゃないので、困り
ます」
「まぁ、そうなんだろうけどさ、触り心地が良いよね」
ふにふにと揉みながら彼が言う。
「…はぁ、そうですか?」
「自分の持ってないものだしね、だから余計に思うのかな」
「…」
「胸だけじゃなくて、全部。柔らかくて触るのが病みつきになる」
ふふっと彼は笑った。
無造作に揉んでいた手の動きが次第に変わっていく。
どう変わったのかは表現しがたかったのだが、私を刺激する様なそ
れに変わっていた。
見上げると瀬能さんは真っ直ぐに私を見ている。
まるで反応を楽しんでいるかの様に。
困らせて喜んでいるのか、または別のものなのか判断つかない表情
をしている。
「あ、あの…」
「何?」
「身体、を洗うんですよね?その為のお風呂…ですよね?」
「んー、まぁそうだったんだけど」
”そうだったんだけど”?
過去形で言って瀬能さんはにっこりと笑った。
「何て言うか、やっぱり、沙英の裸を見たら欲情してね」
「え??」
「我慢出来なくなったと言えば判りやすいかな」
ちょっとだけ首を傾げて見せる。
可愛い表情で、可愛い仕種には見えるのだけど…。

きゅっと軽く私の胸の先端を摘んでくる。
揉まれた後で、期待でもしていたかの様に敏感になっていたそこは、
ほんの僅かな刺激にも甘い快感を体中に走らせる。

声が漏れそうになって、強く唇を結んだ。

「沙英…」

甘く誘う様な声で耳元で囁いてくる。
彼の舌先が私の耳たぶを這っていく。
くすぐったい以上にぞくっとしたものを感じた。
皮膚が粟立つ

「好きな女が裸でいて、我慢出来るほど俺は辛抱強くないのは初め
から判っていたけどね」
耳に触れる彼の吐息。
「そういうの…確信犯って、言いませんか?」
「言うかもね、でも、まぁ取り敢えず身体を温めるかな」
瀬能さんはそう言うと私を引っ張ってバスタブに入った。
バスルーム自体も浴室暖房が効いているので寒くは無かった。
この家は色んな事が豪華というか、お金がかかっているなと思わさ
れる。
ふたりで入っていても十分な広さのバスタブといい…。

瀬能さんに背中から抱かれる格好になっている。
向き合って入るよりは良かったけれど恥ずかしい事には変わりない。

本来お風呂はゆったり入る場所の様に認識しているのだけど、なん
というか…。

お尻の瀬能さんと密着している面に硬いものを感じて、否応なしに
意識してしまう。
彼はそれを判っているのか一層身体を寄せて、私の耳元で笑った。

”判っているんでしょう?”と言わんばかりに。

「意地悪です…」
「何が?」
「すっごくすっごく意地悪です」
「だから何が」
ふふっと瀬能さんは笑う。
「そんな風に押し付けてきて」
「何を」
「何を、とか言う時点でもう意地悪なんですっ」
「うんうん、まぁそうかもね」
耳たぶを、やんわりと噛んでくる。
それは計算し尽くされているかと思えるほどの絶妙な力加減で、私
の中でくすぶっているものに火をつけるには十分だった。
「ん…沙英の、肌の匂い良い香りがする」
甘ったるい声で彼が言う。
「な、何もつけてないですよ?」
「女の、フェロモンの匂いなのかな」
ふふっと瀬能さんは笑った。
前に回されている彼の手が、私の胸に触れてくる。
これも、ゆったりとした加減で揉んでいる様なんだけど、じわじわ
と私に快感を与えてくる感じで眩暈がする。
「せ、瀬能さ…ん」
きゅっと強めに彼は揉んできた。
そして耳元で囁いてくる。
「君は、いつまで俺をそう呼び続ける気でいるの?」
「ん…え?」
「名前で、呼びなさい」
少しだけ振り向いて見ると、彼は少しだけ目を細めた。
そんな表情もまた魅惑的でどきどきしてしまう。
「かず…さ、さん?」
「何で疑問系なの」
彼は笑った。
「和瑳でいい」
「…そ、そんな、呼び捨てなんて」
「別に恋人同士なんだから変じゃないでしょう?」
「あの…でも…」
「呼ばないと、ひどいよ?」
優しい口調とは裏腹に、胸を激しく揉んでくる。
加減はしてくれているので、痛みはなく、むしろ快感がわき上がっ
て来る。
「あっ、や…」
「ほら、早く呼んで」
彼が胸の先端部にも刺激を与えてくるから堪らない気持ちになって
来ていた。
「んっぅ、かず、さ…」
「そう、もっと呼びなさい」
「和瑳…っんん…」
与えられる愛撫に身体が震える。
そして彼の名を呼ぶたびに、心の中の何かと共鳴する様で身体だけ
ではなく、心の中も震えた。
「ん、良い感じ」
右手で私の胸を揉むのは止めず、左手を腿の間に滑らせてくる。
「そこは、駄目…」
「否定の言葉は欲しくないよ」
笑って彼は言って、閉じかけた私の腿の間から奥にある部分に触れ
ようとして来た。
「瀬能さん駄目、ですっ」
「和瑳だっての」
胸を揉んでいた手を、私の足を開かせる為に彼は使う。
「沙英の大事な処、触らせてよ。良いでしょ?それを許されてるの
は俺だけなんだし、それとも違うって言うの?機会があれば、他の
男にだって触らせるとでも?」
「い、意地悪、そんなの、しないって判ってるくせに」
「判らないよ、君がどんな風に考えてるかなんて、俺は君じゃない
んだから」
大きく足を開かされて彼の指がそこに触れてくる。
その瞬間、電気でも身体に流されたんじゃないかと思えるほどの衝
撃が身体を支配する。
「もう濡れているの?なんだかこの辺りぬるぬるした感じするよね」
「や、いや」
「嫌じゃないでしょ?こんなになってるくせに」
裂け目の部分に指を這わせ、何度も擦り付けて来る。
特に私が弱いと思われる突起した部分を重点的に。
柔らかくそこを押しつぶしてから、痛いと思う一歩手前の強さで指
を動かして来た。
堪らない快感がそこから全身へと広がっていき、そうなってしまう
と何処に唇をつけられてもそれも大きな快感となってしまう。
くぐもった変な声が出てしまって、恥ずかしいと思うのに堪えきれ
ない。
「んっ…あぁ…」
「やらしい声出しちゃって」
ふふっと彼は笑うが、その指の動きは容赦なく止めてはくれない。
突起の部分を弄られていたかと思えば、今度は身体の入口付近をま
さぐって来る。
入口付近への愛撫は、突起へのそれ程は快感の波は立たされないも
のの私を乱すには十分だった。

やがて、彼の指がゆっくりと私の中へと挿入されてくる。
「あっ…あぁ」
自分の内部で彼の指を感じるのは不思議で慣れない感覚だった。
「なか、動いてるよね…ひくっ、ひくって」
その言葉を、彼はわざとゆっくり私に言って聞かせる。
意識させる為なのだと、気付くにはそう時間はかからなかった。

私の中が急速に変化していく。
彼の指に絡みつき、蠢いている感覚が自分でも判った。

「やらしく動くな…君の中って。そんなに欲しいの?って勘違いす
るぐらいに」
「瀬能さんが、指、変な風に動かすから…です」
「和瑳だって言ってるの」
くすっと笑って、私の内部の上を擦ってきた。
「やぁっっ」
ひくりと身体が跳ねる。
「まだ、痛い?」
少しだけ気遣う様に彼が訊ねてきた。
「き、昨日あれだけされたら、違う意味でも痛くなります」
「あぁ、そういう事もあったかな」
ちゅっと首筋に小さく彼はキスをしてくる。

「じゃ、止めておきますかね」

彼は私の中から指をゆっくりと引き抜いてそう言った。

私を翻弄し続けた快感が小さくなり、その時だけはほっとした気分
になる事が出来た。





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