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rit.〜りたるだんど〜 act.14

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温かい大きな手。
大好きな手が、私の身体をまさぐっている。
そして唇が、舌が、意地悪く蠢いていた。

「あ、や……ん」
その感覚に身体が震えた。
頭の中は朦朧とした感じがするのに、愛撫による感覚だけはやたらと鮮明だっ
た。

「甘えたような顔、他の男にしてんじゃねぇよ」
「して、ないもん」
「してたと俺が言っているんだ、口答えするな」
「んんんっ」
私の内部に入れられた零司さんの指が動く度に、痺れるような感覚に襲われた。


居酒屋から家に帰ってくるなりベッドに押し倒されこの状態。

身に着けていた水色のショーツは、とうに脱がされベッドの下に落ちている。
私の意識もすっかり快感に溶かされ、その虜になっていた。

「どうだ?おまえの好きな指が、入り込んでる感触は」
「う、う……」
「これが好きなんだろう?」
「い、やぁ……ん」
「もっと入れてやろうか、2本がいい?それとも3本がいいか」
言いながら彼の指の本数が増えていく。
きつく広げられて、正直痛い。
「や、やぁ……そんなに、いれない……で、いたい、よっ」
「でも、これが好きなんだろ?」
一旦引き抜かれて、2本になって体内に戻ってくる。
「どうだ、好きなもので満たされてる感じは」
「ゆ、び……だけじゃ、いや」
「でも指が好きなんだろ」
ククッと彼は笑った。
「いじわる……ぅ」
判ってるくせに、と、私はいつものように、彼にねだる。
酔っていても、何度言わされていても、そこの部分の名称を口に出すのは羞恥
の極みだった。
頬や耳朶が、お酒とは違う赤みに染まる。
「聞こえない、ちゃんと言え」
誤魔化すように小さく言えば、必ずと言っていいほど言い直しをさせられて、
また恥ずかしい思いをする。
朱に染まった耳朶を彼が甘く噛んできて、その感触にぞくりとした。
お腹の中がきゅっとする感覚に身じろぎする。

また、我慢できなくなってしまう。
隙間なく、彼のもので埋めて欲しいと強く望んでしまう。

「れーじ、さん……いれて、おねがい……です」
長い前髪からのぞく、黒目がちの綺麗な瞳が柔らかく微笑んで私を見詰めるか
ら、胸が締め付けられるように苦しくなる。
胸が熱い。
火がついたようになっている。
「……ああ……れーじさん……す、き」
「……」
唇に熱く、甘い(と錯覚するような)キス。
絡まるのは濡れた舌同士。
彼の舌は、少し苦い煙草の味がした。
だけど、甘く感じてしまう。
苦いけど、嫌いじゃない。
零司さんの舌の味だと思うと興奮と、心の痺れと、下半身の痛みが強くなって
くる。
「れーじさん、い、れて」
自分の内部が疼いているのが判る。
頭の中はぼんやりと靄がかかったみたいなのに、身体の感覚だけは本当にクリ
アで、欲望に従順だった。
「おまえは、激しく酔うと誰にでも“そう”なのか」
「そうって?」
「甘えたように媚びた目で、好きだとか平気で言うのか」
零司さんは笑っている様に見えるけど、だけど、なんとなく瞳の輝きがさっき
までとは違うように見えた。
……こんな感じ、前にもあったような……。
「どうなんだって、聞いてるだろ?」
「……いわない、れーじさんにだからいうんだも……っんん」
強い衝撃を内部に感じる。
彼が私の身体を分け入って自身の一部を挿入させてきた。
「あ、ぅ……」
「……おまえは、俺を好きなのか?」
「わ……かんないけど……すき」
「なんだよ……それ」
「れーじさんの、いろんなぶぶん、すき、なんです」
「俺自身はどうなんだよ」
「わ、かんない……でも、んっ」
見上げると彼と目が合う。
傍に零司さんが居る事が嬉しくて私は微笑む。
「れーじさんが、すき」
「花澄」

零司さんの抜き差しする動きに合わせるようにして、私の腰も動く。
大きな塊が何度も何度も出たり入ったりしている。
その塊の主が、今私を強く抱きしめている人だと意識すればするほど快感は強
くなった。
「ん、あ、あ……れーじさん、すき、すきです」
「……やめろ、言うな」
「だって、すき、なんだも……」
言葉を唇で遮られる。
私が何か言うのを禁じるようにして、舌が吸われ絡め取られる。

興奮が高まれば、高まるほど、言いたくなるのに……。

強く彼を抱きしめて、挿入されている部分をより強く感じようとした。
欲しいのは快感と零司さんの温もり、そして存在感だった。
私の内部で、彼は私をどう感じているのかは想像も出来なかったけれど、繋い
でいる身体が確かに彼のものだという事をもっと強く感じたかった。

「ん……くそ……」
零司さんの艶っぽい声が耳に入ると、余計に気持ちが高ぶってしまう。
「れーじさん、なんで、だめ?なんで……わたしは、いっちゃいけないの?」
「駄目だから、駄目、なんだよ」
「おこる?いったら、きらいに、なっちゃうの?」
「……そういう顔で、俺を見るな」
「んっ、あぁん」
「花澄……っ、ん」
「ぁ……な、んで?」
身体の内部が、彼の塊と擦れて熱くなっている。
溶けそうな快感に、本当に内部が溶けているんじゃないかと錯覚するほどだっ
た。
「わたしが、れーじさんを、すき……になったら、だめって……ことですか?」
「違う、駄目なのはおまえが……本気じゃないからだ、本気じゃない言葉なん
か要らねぇんだよ……その程度のもので浮かされるほど俺は、ぬるくないんだ
……っての」

ちょっと怒ったような口調で彼が言った。
なんだろう?
すごく切ない感じがした。

彼の言っている意味が、いまひとつ理解できていないのに、心が疼いて仕方が
ない。
切なくて痛くて、苦しい。
なんでこの人はいつも私を苦しくさせるんだろう。

なんでこの人に、泣かされちゃうんだろう。

「何、泣いてんだよ」
「わかんない……です」
「……泣くほど気持ち良いか」
「そういうんじゃないもん」
「……そう」

優しいキスも、その抱擁も、全部が心地良くて、切なくて、泣けてくる。
心が何かを叫びたがっているのに、私はそれがなんなのか見つけられない。

そしてそれを必死に探そうとしても、今身体にある熱に夢中になってしまい、
意識がそこから遠のく。
あるラインを超えたら、もう他の事を気にしている余裕なんて無くなった。

「んんっ」
彼の腕の中で、高い部分を知る。
そのはじける感じがいつもより強いような気がした。
「も、もう……だ、めです」
「もっと、だろ?おまえはもっと貪欲な女だろうが」
なおも零司さんは私の身体を揺さぶり続ける。
高いところを知った内部は、少しの刺激にも大きな反応をしめしてくる。
「や、や……ぁ」
「花澄」

そこから彼が満足するまでの間、私は責め続けられた。
正確には彼がちゃんと満足したか、私が把握する事は出来なかった。

何度目かの絶頂時、意識が落とされてしまったから――――。



******


「……いた……い」
ふと目が覚めると天井が見え、ちょっと視線をずらすと零司さんが頬杖をつい
て私を覗き込んでいた。
「零司さん??」
「ああ、起きたか」
「え?あ……ええっと……」
「なんだよ」
「ここは、家……ですか?」
彼は小さく笑ったあと、私の頬を抓った。
「い、痛いですっ」
「飲み過ぎなんだよ、バカ女」
「え、え??」

怒ったように見えた彼だったけれど、その後の笑顔はいつになく優しいように
見えた。

「えっと、飲み会……でしたよね?」
「そうだな」
「零司さん、いつ来られたんですか」
「おまえがすっかり出来上がった頃だ」
「そ……そうでした?」
「酒癖悪いな、おまえ」
「……私、何かしました……か?」
「べーっつに」
「あ、あの、ご立腹?ですか」
「おこっちゃいねぇよ」
だけど、彼は、はぁと小さく息を漏らした。
「あ、あの……零司さん?」
「なんだ」
「私、なんで……その、裸なんでしょうか」
ククッと彼はいつものように笑う。
「知らない」

ベッド横に置かれている小さなサイドテーブルの上にはミネラルウォーターの
ボトル。

零司さんはきっちりと服を着ていたけれど、明らかに事後っぽくて、私は耳ま
で赤くなってしまった。



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