「なんか、凄い興奮するんだけど」 零司さんが私に覆いかぶさりながらそう言って笑う。 「おまえが俺をそういうネタに使ってたのって」 「も、言わないで……下さい」 「なんで? もっと聞かせろよ」 身体の中心に彼の硬さを感じた。 一気に貫かれたいと思うのに、零司さんはそうしてはくれない。 「言って聞かせるような事なんて、何もないですよ」 「でも、妄想のネタにはしたんだろ? どんな風に考えてしたのかって気にな る」 「どんなって、普通に……」 僅かに彼の身体が私の中に入ってきて、ただもうそれだけなのに爪先まで痺れ る感じがした。 「く……ぅ、ふ」 「普通って何? 判らねぇし」 「……こういう、意地悪……本当止めて下さい」 身体を彼に押し付けようとしても、腰を掴まれ押さえつけられているからそれ が叶わない。 中途半端な快感に気が狂いそうになる。 「れ……じさん、ちゃんと、入れて下さい」 「おまえがどんな風に俺をネタにしたのか言えば奥まで入れてやっても構わな いけど?」 「だ、だから……どんなって言われても」 沈めかけたそれを引き抜いて、敏感になっている私の突起にそこを擦り付けて くる。 それだけでも、ぞくぞくっと全身が震えた。 甘い快感は確かに求めていたものではあったけれども、やはりそれだけでは全 然足りない。 燻っているのは身体の奥の方だから、そこを彼にどうにかして欲しかった。 「おまえのここも、硬くなってる。興奮してる?」 「し……てます、もう、ずっと今日は興奮させられっぱなし……なんです。こ れ以上お預けしないで下さい、本当、おかしくなっちゃ……ぅ」 「ふぅん」 ぬるぬると私の体液で滑りが良くなっているソコを零司さんが何度も彼自身で 擦ってくる。 「ゃ、やぁっ……」 「おまえの想像の中での俺は優しかった? 好きだとか愛してるとか囁いてた ?」 頷くと彼は笑った。 「好きだと言われたかったのか? おまえは俺の事が好きかどうか判らなかっ たのに?」 「……叶わないって、思ってました、だから、想わない方がいいとも……」 「望めばいくらでも言ってやったのに」 「……望むとか、そんなの……ムリで……ぅんっ」 硬くなった突起を、今度は零司さんの指で弄ばれる。 「でも、身体は欲しがったんだ? 俺を」 「ぁっ、あ……いやっ」 「……イヤ、じゃないだろ? こんな風に自分でここを弄って身体を慰めてた くせに。それとも、俺の指より自分の指の方が良いとでも?」 「っは……や、零司さん……の欲しい……指だけじゃ、いや」 「でも、気持ち良さそうな顔はしてるぜ、指でもいっちゃいそう? いけるよ な? 自分でやってるぐらいなんだから」 執拗にその突起を弄ってくる。 やがて内部にも指を差し込んでくるから、思考回路は壊れる寸前だった。 「ひ……ゃ、あぁん」 「自分でやる時ってどういう風にしてるの? どっちも弄ってるのか? こん な風に」 敏感な部分への愛撫に快感がどんどん大きくなっていく。 溢れる体液でいやらしい水音が立つのも羞恥心を煽られ高まる要因のひとつと なってしまう。 「や、もう……っ」 「いきたい? いかせて欲しい?」 「零司さん、お願い……です」 「何のお願い? ああ、俺のを入れてって話だったか」 高まる寸前で指を内部から引き出される。 何故こうも私のタイミングを知っているのかと思うぐらいのそれだった。 膨らんでいた快感への期待が大きかっただけに、喪失感で身体がぶるっと震え た。 「や……いや、こんな、の」 「何がイヤなの、もう入れられたくない? 気が変わった?」 そんなの私が思う筈もない事を知っていて彼はそう言う。 「……お、願いします、いかせて下さい」 「自分の指でしてくれても構わないんだよ」 数秒の沈黙。 あと僅かでもその時間が長引けば、私は彼の目の前で醜態を晒していたと思う。 だけど私の身体が動く寸前で零司さんのものが入ってきた。 「あっ、ああっ! んぅうっ……っ」 「ん、はっ……すげ……締め付け」 「ぁ……あ……っ、はっ」 一瞬息が出来なくなるぐらいの衝撃が身体を貫いていった。 零司さんが動かないでいても私の身体がびくびくと跳ねる。 「……もしかして、いったの?」 くくっと彼が耳元で笑った。 「は、ぁ……れ、いじ……さん」 「可愛いねぇ」 こんな醜態曝け出されて一体何を指して彼は可愛いなどと言うのだろうか。 顔も身体も隠したくて堪らないのに、今の私は指一本動かす事も可能ではなか った。 「俺の、欲しかったんだろ? 存分に楽しむといいよ」 「ぁっ……う、うごかな……い、で」 「何で? 動かないと気持ちよくならないだろ」 薄く笑う彼の顔がいつも以上に美しくも見え、恐ろしくも見えた。 「い、ま……だめ、あ、あぁん」 「ん……可愛い声……そんなにイイの?」 ぐちゅぐちゅと内部を掻き混ぜるようにして彼が腰を使う。 そして身体の一部分が、敏感な突起に当たるようにして動いているのも絶対わ ざとだと思えた。 「いや、あ……あっ、そんなに……されたら」 「されたら何? ん……こんなに、ぎゅうぎゅう締め付けてきて……何もする なってそれはないんじゃねぇの?」 硬い彼の先端部が、何度も何度も私の最奥を突いてくる。 良いと思ってしまう部分を狙うようにして動いているのが判る。 下腹部がきゅっと締まって、内部が切なさに似た感覚でいっぱいになった。 「はぁ……だ、めぇ」 「駄目じゃないだろ……イイって言えよ、こんな風にされたかったって言って 泣けよ」 「零司さん……っ」 「俺のこれで中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜて欲しかったんだろ? ちゃんと言 え」 「んんっ……ぁ、ほ、欲しかった……ん、です……」 「気持ち良い?」 腰を揺らしながら、甘い声で彼が耳元で囁く。 そんな声音を使ってくるのも反則だ。 どれだけ私を夢中にさせれば気が済むのだろうか?? 「気持ち良い……です……ぁ、あ……」 「……ん、花澄……俺も、凄くイイぜ」 「ううっン!」 「……堪らない、こんなにイイって思うの……おまえだけだ」 「……零司、さん……ぁぁっ……好き、好きです」 「愛してるよ」 苦しいぐらいに身体が高まっていく。 身体の高まりがこんなに辛いと思うのは初めてだった。 辛いけれど、追わずにはいられない。 まるで自分が、良いと思う場所に彼を誘導するようにして腰を揺らしてしまう。 先ほどまではもう動けないと思っていて、実際に動く事も叶わないと思ってい たのに大きな快感が目の前に現れると腰が勝手に動いてしまう。 私はどれだけ貪欲なのだろうか。 自分の中にあるものを彼に暴かれているような気がして怖い。だけど、あるも のを見えないふりは出来ない。 ちらつかされている以上、追いかける為にどこまでも走り続けてしまう。 「……やらしいな」 彼がじっと見下ろしてきているのが判っても、高ぶる熱に翻弄されて自分の身 体をどうにも出来なかった。 ただ、快楽を追い求める事しか考えられない。 その快楽も、今の自分の身体には過ぎたものでひどく辛いものであったとして も。 「だ、め……ああ、また……き、ちゃう……」 「いいよ」 「ぁ……ぁぁ……や、やぁっ……」 「……ちゃんと、言って、いくときはイクって」 「い……ちゃ、いっちゃう……零司さん、ぁっ……もっと」 「深くまで欲しいの? 俺のが欲しいんだ?」 「零司さんのが欲しい……硬いので、もっと、擦って欲しい……」 「ああ、望みどおりにしてあげる……だけど本当、おまえはやらしいんだな」 「ほ……んとう、の事……だから……っああっ」 彼自身の硬さや逞しさをより大きく感じるから、自分の身体の内部が彼を強く 締め付けているのが判る。 身体の内部は翻弄され、思考も正常とは言えないのに、内部にあるそれが感じ る部分を擦っている感覚だけは、はっきりと判ってしまう。 追い求めるべき快感の形が見えているから、夢中になってしまう。 「……花澄」 「ゃ……もう……い、ちゃう……」 「いいよ」 「……っ、んんっぅ!」 快楽の頂点は切ない痛みで覆われたそれだった。
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rit.〜りたるだんど〜の零司視点の物語