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rit.2〜りたるだんど〜 STAGE.22


暫くギターの話などをしていたが、体力的に辛いせいか、ふっと眠気に襲われ
た。
昨日は結局のところ、あまり睡眠がとれていないからそれが原因だと思えた。

「眠いのか?」
「……はい」
「だったら、寝ればいいよ」
「そうします……あの、零司さんはどうされるんですか?」
「何が?」
「私が寝ている間です」
「考えてないけど」
「じゃあ、一緒に寝てください」
私の言葉に彼は笑った。
「寝たいんだろ? それともまた俺に襲われたいわけ」
「襲われたくないですけど、傍に居て欲しいんです」
「へーえ」
零司さんは小さく笑ってから、私の頭を撫でてくる。
「添い寝が必要とはね」
「すみません」

身体への愛情表現は散々された翌日であっても、満たして欲しい想いはなくな
らない。





ダブルベッドに身を沈めると、後から零司さんがやってきた。
「まぁ、とりあえず寝かせてやるけど、夜は覚えておけよ」
「……零司さんって本当……」
「なんだよ」
「自由だなって思います」
「おまえのいう事を聞いてやってるのに自由だなとはなんだよ」
彼は笑いながらも、私の頭を撫でる。
髪を梳くように指を通され、地肌に触れられるとうっとりとした気分になって
しまう。
零司さんの大きな手や、長い指が本当に好きだと思えた。
手に触れると指を絡めるようにして握ってくれる。
「早く寝ろ」
額に彼の唇の感触。
大きな安心感に包まれながら、私は眠りについた。




足りている筈なのに、もっともっと彼からの愛情が欲しいと思ってしまう。
だけど、彼が傍に居てくれるだけで幸せだとも思う。
どんな愛を描いて貰えば満足できるのだろう?

愛されていないとは思っていない。
ただ貪欲なだけだ。



目が覚めたときも、零司さんは隣にいてくれた。

「あ、ずっと居てくれたのですか?」
「一緒に寝ろとおまえが言っただろ」
くすっと彼は笑い、それからゆっくりと身体を起こした。
「願いは叶えておいてやらないと、後でこちらの要求も言いにくくなるからな」
「……要求って……」
「判っているんだろ?」
甘いトーンで言葉を吐き出し、誘うような眼差しをこちらに向けてきた。
どきりとする。
心に甘い痛みを感じると同時に身体も熱くなる。
彼の指が首筋に触れるだけでも心も身体も震えた。
「夜って……言ったのに」
「覚えておけと言っただけだ、それにベッドに誘ったのはおまえの方だぜ?」
「そ、んな……」
「我慢させたら、もっとひどい事するようになるって俺は言ってあるよね?」
首筋から鎖骨に、するりと指を滑らせてくる。
ただそれだけなのに私はぞくっとしてしまう。
「花澄、そんな誘うような表情をしておいて、望んでないとは言わせないよ」
寝間着の上から身体をまさぐられる。
少し乱暴に胸を揉まれると声が出そうになってしまう。
敏感な部分を指で執拗に弄ってくるから余計だ。
「ここ、立ってきてるよね」
乳首をこりこりと指で触りながら彼が言う。
「……零司さんが触る……から」
「ふぅん」
突然寝間着を胸の上までたくし上げられ、立ち上がっている突起を口に含まれ
た。
「や、ぁっ」
濡れた柔らかい舌先が、弄ぶように蠢く。
ちゅっと小さく吸い上げられれば、電気でも流されたように身体が自分の意思
とは関係なしに跳ねてしまう。
「本当、おまえは反応がイイよな」
唇が震え、彼の言葉に返事が出来ない。
「肌の質感も凄く良いし……」
彼は唇で、私の突起の周りを焦らすように弄る。
一度吸われてその感覚を知らされた後だけに、焦らされる気持ちが急速に高ま
ってしまう。
辛いと思ってしまうほどに。
「どうして欲しい?」
私の心うちを見透かすようにして零司さんが聞いてくる。
勿論彼には私がどうされたいと思っているかは判っていると思う。
わざと聞いてきている。
そうやってこちらの羞恥心を煽るのが彼は好きなのだ。

――――そして……、多分そうされるのが私も好きなのだと思えた。

焦らされたりする事で、同じように与えられるものでも違うもののように感じ
てしまう。
まるで彼は私の身体を満たす術を知っているみたいだった。



ふと。


それは私に限られた事なのだろうか? と思ってしまう。
彼が今まで相手にしてきた女性達にだって零司さんは溢れんばかりの快楽を与
えてきた筈。

零司さんがわざわざ会社帰りに待ち合わせて会った昔の彼女にだって……。

「何? その変な顔」
「……すみません、ちょっと嫉妬しました」
「嫉妬って何に対して?」
「今までの零司さんの彼女さんたちにです」
「このタイミングで? 不思議な思考回路だな、おまえって」
「……すみません」
彼が寝間着の上から下腹部に触れてくる。
つつっと指を滑らされ、敏感になっている部分が過度に反応する。
「どんな風に嫉妬した?」
「わ、たしを抱いているように、前の彼女さんたちにも、してたんだなぁって」
「おまえを抱いているような感じでは抱いちゃいねぇよ」
「え? あ……んっ」
くにくにと敏感な部分を弄る彼の指に、腰が痺れた。
「同じわけないだろ」
「でも……」
「大事だと思うのも、こんなにやりたくなるのも、相手がおまえだからだ……
悦ばせたいと思うのもな」
耳元で囁かれ、言葉が終わると同時に耳朶を甘噛みされた。
「それを、おまえに思い知らせてやろうね」
にっこりと綺麗に微笑む彼を見て、余計な事を言ってしまったのだと後悔して
も、それはもう遅すぎた――――。










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rit.〜りたるだんど〜の零司視点の物語

 

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