「う、ぅっ」 ひくりと跳ねる身体の中には、まだ零司さんの塊が埋め込まれたままだった。 その硬さや熱を意識してしまうと、また快感が湧き上がってくる。 「花澄……」 艶っぽい零司さんの声が私の耳に触れた。 素肌の肩を、つつっと彼の舌が舐めていく。 「俺とするの好き? 気持ち良い?」 「……は、い……好き、です」 「気持ち良い?」 「はい……」 「そう」 彼は私を後ろから抱き締めながら、その律動を再開させる。 「っ、ぁ……」 粘膜同士が擦れ合う淫靡な音が部屋に響く。 自分の身体に出し入れされる男性器が零司さんのものだと思うと、やはりそれ だけでも興奮してしまう。 達したばかりの身体が、彼の動きに合わせるようにして揺れる。 「腰振っちゃって、可愛いねぇ」 「……ぁ、っ……ん」 身体が、ぶるっと震えた。 最奥まで彼が入り込んでくる。 突き上げられたその部分が、ひどく熱いと感じた。 「ぁ、はっ……や、ん」 彼は動きを止めて強く抱き締めてくる。 「俺が動かなくても、おまえのココはひくひく動いて快感を貪ろうとするよな。 本当、やらしいね」 「意地悪……や、です」 それでも、彼が言うように内部は快楽を貪ろうとして動いているのが自分でも 判ってしまう。 「この中の動き、気持ち良い」 「れ、いじ……さん、動いて……」 「奥まで突いて欲しいの? それとも擦って欲しいわけ?」 「……奥、が……疼くんです……」 「そう」 彼は抜き差しはせずに、身体を奥まで突き上げるようにして腰を揺らした。 疼いている部分に零司さんの固体が当たり、えも言われぬ快感に我を忘れそう になってしまう。 「花澄、こっち向いて、舌出して」 振り返って言われるとおりにすると、私の舌に彼の濡れた舌が絡んできた。 ひたりと合わさりあう舌の感触も艶かしくて興奮を煽る。 噛み付きたくなるような衝動が生まれ、零司さんの下唇をやんわりと噛んだ。 「何ソレ、やらしい」 くくっと彼は笑ってから、私を揺さぶった。 「やっ、ぁぁん!」 一度達した身体はそこまでまた辿り着くのが容易だと思えた。 こちらは溺れきっているのに、彼はまだ雄々しくその部分を高ぶらせているか ら余計に狂わされる。 零司さんは大きく抜き差しをした後に、突然それを引き抜いた。 「花澄、乗ってこい」 彼は仰向けになって私を誘う仕種をする。 命じられたとおりに彼の上に跨り、自分の身体の中に零司さんを入れた。 「ん、っ、ぁ……」 彼の上に乗せられていると、どうしても見られているという感覚が強くなり恥 ずかしさが勝ってしまう。 「腰振って」 動きの鈍い私を見透かしてか、彼は強引に腰を揺すってくる。 ゆるゆると瞳を開けると、想定どおりに零司さんはこちらを見上げているので、 一気に身体が熱くなった。 「み、見ないで下さい」 「今更何を恥ずかしがってるんだよ」 くくっと彼は笑ってから下から突き上げてくる。 「ゃ、あ……ん」 「腰を振れよ、俺の身体を貪りたいんだろう?」 動かされる事で湧き上がる快感に震える。 一定のところまで快感を与えられると、彼が動きを止めても、私の方では動く 事がやめられなくなってしまう。 まるで、獣のようだと彼を貪る私をもう一人の自分が見つめていた。 「や、だ……」 「ほら、もっと上手に動けるはずだろ? もっとだよ花澄」 私の行為を助長させるようにして彼が言う。 いやらしく腰をくねらせれば、内部の快感がより強くなり動きが大きくなって いった。 「花澄……あぁ、凄い……いい」 私の身体の下で艶っぽく彼が息を漏らすと、羞恥心はどこかへ消えてしまう。 ――――いつだって、結局はそうだ。 恥ずかしいと思っていても、一定のラインを超えてしまうともうその事だけし か考えられなくなってしまう。 『俺の身体を貪りたいんだろう?』と彼が言ったとおりに、零司さんの身体を 貪るようにして私は腰を振った。 「……っ、ん……すげ……」 「……零司……さ……ん」 「本当、おまえ……やらしいよ、やらしくて……夢中になる」 彼が誘ったわけでもないのに、私は気でも触れたかのように零司さんの唇を激 しく奪った。 彼に抱かれれば抱かれるほどに、私は貪欲になっていく。 抱かれて『足りない』と思わされる事は一度だってないのに、それでも“もっ ともっと”と何かに責め立てられているような感覚に陥る。 突然、ぎゅっと強く抱き締められ身体が反転させられた。 「も……ダメ、出したい」 「ん、ぁ……あ……零司、さんっ」 「……花澄、好きだよ」 情欲に溺れたような彼の瞳は、色気を増すものだった。 いつでも思ってはいるけれど、彼を誰にも渡したくないと激しく思う瞬間でも あった。 熱っぽい瞳で見つめられる相手は自分でなければ嫌だと、この人だけは誰にも 渡せない、そう再認識させられる。 「や、もっと……欲しい……」 「何? 我慢、しろって?」 「……んっ、ちが……零司さん、が……ぁっん!」 私を揺さぶっていた固体が引き抜かれ、それが失われた感覚に体内がざわつく。 「そんなに物欲しそうな顔、するなって」 彼は手早くコンドームを装着させて私の体内に戻ってきた。 「……全部、あげるから」 柔らかく零司さんは微笑んで口付けてくる。 「だから、望み続けて」 自分が知らなかったような貪欲さや激しさが露呈する。 隠しておきたいと思っても、隠し切れず、望まずにはいられなくなる。 「欲しがっていいよ」 彼の声は、いつだって私を甘く誘う。 何かが弾ける意識の中、強く抱き締めてくれる彼の腕だけが現実のもののよう に思えていた――――。
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rit.〜りたるだんど〜の零司視点の物語