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rit.2〜りたるだんど〜 STAGE.32

触れさせられたその部分は、ジーンズ越しでも大きくなっているのが判った。
興奮で思考能力がおかしくなっている状況下でも、この場所に触れるときは緊
張してしまう。
だけど、緊張はしても興奮の度合いが低くなるわけではない。
もぞもぞと布越しに触っていてもその部分は敏感に反応し、大きさが増される
様子には興奮を煽られた。
彼の手が私の後頭部に回り、身体を寄せ囁く。
「もっと、ちゃんと触って……焦らさないで」
甘えるような零司さんの声音に私の身体がぞくぞくっとさせられた。
直接愛撫されるよりも彼の声は私を高める時がある。
それは大概責めるような言葉だったりするのだけれど、ねだるような声でも震
えるぐらい感じてしまった。
「零司……さん」
彼は片手で私の後頭部を押さえたまま、自分のジーンズのベルトを外し、器用
にファスナーを下げた。
「……私、逃げたり……しませんよ?」
「そう?」
私の後頭部に彼の手があるのはそういう意味だと思えた。
「零司さんのに触るのは、嫌じゃないですから」
彼のそこは熱っぽいように感じた。
2、3度下着越しにその部分を指で擦ってから、下着の中から彼のそれを引き
出す。

見慣れているようで見慣れない彼の屹立した男性器は、中性的な顔立ちの彼に
相応しくないように思えたり、相応しい猛々しさだと思えたりと不思議な感じ
がした。
顔立ちの差ほどは、他の男性と大きくその外観は違わないとは思えるものの、
生々しい象徴の部分でさえ美しいと感じてしまうのは何故なのだろうか。
指で直接愛撫を続けると、雄々しく立ち上がっている部分の先端からしっとり
とした体液が滲み出てくる。

今まで、じっくりとこの部分に触れたり見たりする事がなかったから、男性も
濡れるのだという事を知ったのは彼の身体が初めてだったな、などという事を
興奮で上気している頭の中の一部分で冷静に考えたりもした。
「口でしてもいいですか?」
零司さんを見て言うと、彼は目を細めた。
「聞くな、いつしてくれるのかって、コッチはさっきから待ちわびているんだ」
「あ、はい、すみません」
ソファから降りて、彼の前で跪く。
指で先端部をくすぐるように弄ってから、私はその部分を口に銜えた。
零司さんが小さく溜息をつく。

生殖器であると同時に排泄器でもあるその部分であったけれど、彼の部分に関
していえば、嫌悪みたいな感情は生まれない。

今はまだ銜える事が好きなわけではなかったけれど、それでも近い将来、自分
はこういう行為でさえ、したくてしたくて堪らなくなってしまうんじゃないか
という恐れを感じた。

(……零司さんの反応が……)

顕著であるから余計にそう思うのかもしれない。
遠慮がちではあるけれど、唇から漏らされる甘い吐息にこちらが煽られる。
男性の身体をどうこうしたいと思う気持ちは彼以外には芽生えなかった感情で。

先端部から溢れるぬるりとした体液をむしろ喜んで舐めている自分に不思議な
気持ちを覚えた。
“もっと舐めたい”というものではなく“もっと出させたい”という奇妙な感
覚。
その私の感情が、動きを大胆にさせた。

「も、いい……花澄」
彼が私を止めさせようとするのは気持ち良くないからではないという事は零司
さんの反応で判っていた。
だとしたら、その逆。
行為を止めようとしない私を、彼は怪訝そうな瞳で見下ろしてきた。
そして小さく笑う。
「止めなかったらどういう事になるかって、判ってて止めないわけ?」
ああ、やはり予想通りなのだと納得する思いと期待する感情が胸に込み上げる。
私が頷くと、零司さんは微笑んだ。
「じゃあ、もう止めさせねぇからな」
彼の手が私の後頭部に回る。
逃がさないと無言の指が言っているようでそれもまた私を煽った。

この行為に夢中になった。

そんな私の様子を彼がどう見ているかは表情では知る事が出来なかったけれど、
彼の小さな喘ぎ声や、時折褒めるような言葉で悦んでもらえているのだという
事は理解出来た。
恐らくは、後で途轍もなく恥ずかしい感情に支配されるのだろうと予想は出来
ていたけれど、今はそれさえもどうでも良かった。

――――私はなんて、溺れやすいんだろう。こういった性行為に。

夢中になりすぎて、自分の唾液さえも嚥下出来ず、彼の男性器を伝って零れて
いく。
零れる唾液の量が多ければ多いほど、いやらしい音が響いた。

「おまえ、ホント……やらしい」
彼の手が私を押さえつけ、強張りを見せる。
「っ……は……、出すぞ」

その言葉の次の瞬間、銜えていた零司さんのそれがぶるりと震え私の口腔内に
沢山の体液が吐き出された。






「……ああ、もう……その辺に吐き出せ、零していいから」
銜えたままでいる私に向かって彼はそんな風に言った。
そうは言われても。
ゆっくりと彼の男性器を口から出して私は答えた。
「……噂に聞いていたとおりに、なんとも言えない味なんですね」
「飲んだのかよ」
珍しく狼狽したような表情を浮かべる零司さんがおかしかった。
「出せって零司さんが言った時には、もう飲み込んでましたので」
「あ、ぁ……そう、悪かったな」
「……大丈夫ですよ、零司さん」
「だったら、いいんだけど」
「そういえば、今日は夕飯がまだでしたよね」
「え?」
「冷蔵庫の中にあるもので、何か適当に作ります」
立ち上がった私の腕を彼が掴んで、またソファに倒された。
「何終わらせる気でいるんだよ」
「え? だ、だって」
「次はおまえの番だろ」

私の太股に当たっている彼のその部分はもうその形を大きく変化させていた。



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rit.〜りたるだんど〜の零司視点の物語

 

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