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rit.2〜りたるだんど〜 STAGE.34


「そんなに気持ち良かった?」
「……腰、とか……ちから、はいらな……い、です」
ソファの背もたれに、ぐったりと身体を沈める私を見て零司さんが笑った。
……あの部分は繋がったままに。
「お、願いです。まだ……動かないで下さいね?」
恐る恐る聞くと彼が薄く笑う。
「どうしようかな」
その声が凄く楽しそうに聞こえて嫌な予感がした。
「だって、俺はまだイってないし? さっき花澄が出してくれたから、まだま
だもちそうな感じなんだけど……何、俺に我慢しろって言うの? この状況下
で」
「で、でも、お願いです……動いちゃ……」
泣きそうな声で懇願すると、彼はふふっと笑う。
それがやっぱり楽しそうに見えて……。
「俺の首に腕を回して?」
「え? あ、はい」
抱き付くようにして腕を回すと、彼は私の腰やお尻を支えながら立ち上がった。
「いっ……やぁっああっ……」
立ち上がられて私の身体が下がりその分挿入が深くなって、今一番刺激された
くない部分に大きな刺激を感じ、その一瞬で達してしまった。
「う、動かないでって……言った、のに……」
「んー、ベッドに移動しようかなと思っただけだったんだけどね」
彼をちらっと見上げると、薄く笑っている。
「……つ、繋げたままで、ですか?」
「だって、抜きたくないし」
悪びれる様子もなく零司さんはそう言って笑った。
「歩くから、掴まっていろよ」
「…………」
何を言ってもいう事を聞く人ではないのは判りきっていたので、私はぎゅっと
彼に掴まり、ソファからベッドまでの距離を耐えた。
「ん」
ベッドまで辿り着くと、零司さんはすんなりと私をそこに下ろした。
「……う、ぅ……」
尚も繋がったままの身体に、震えが止まらない。
「花澄」
「……意地悪、本当に……止めて下さい」
「意地悪なんてしてないだろ? 花澄が俺をよくしてくれたんだから、こっち
だってお返しをしてあげないとって思うだけで。まぁ、倍返しだけどな」
「も……だから、ちょっと動かないでいて下さいって、お願いしてる……んで
す」
そう言いながらも、内部にある零司さんを意識してしまうと、自分の意思とは
関係なく彼を締め付けてしまう。
「へぇ、こんな風にナカを動かしておいて、俺には動くなって?」
彼の言葉に頬が熱くなる。
淫らに締め付けている事を零司さんが気がつかない筈もなかった。
「ぎゅうぎゅう締めてきて、まるで動けって命令されてる気分なんだけどねぇ」
くくっと彼は笑う。
「でも……そうだな、お望みなら、動かないでいてあげようか」
先程の意見とは全く逆の事を零司さんは言う。
「……」
動かなければ、それはそれで彼の硬さや形がよりリアルに内壁に感じるような
気がしていた。
擦り合わせなくても身体が熱くなっていく。
ただ圧迫されているだけなのに、じわじわと侵食されていくような錯覚がする。
2度達した身体だから、より強く感じてしまうのかそうでないのかは今の私に
は判断がつかなかった。
漏れそうになる声に唇を噛んで堪えた。
「どうした? 花澄」
零司さんは私の顔を覗き込み微笑む。
多分彼には今の私がどうもこうもならない状況になっているという事は筒抜け
だと思えた。

動かれても辛いけど、動かれなくても辛い。
シーツを強く握り締めた。
「抜いて……欲しい、です」
「……それは駄目」
ちらっと彼を見上げると、酷薄そうな切れ長の瞳を甘く滲ませ彼は見つめ返し
てくる。
「俺は、花澄と繋がっていたいんだよ」
計算をして言っているのか、それともありのままの言葉なのかが判らない。
それでも、零司さんにそんな風に言われてしまうと胸の中が切なくなってしま
い、それに連動するかのように内壁も切なさに悲鳴をあげた。
「う、う……」
「……動かないでいてあげるから、このままでいさせて」
頬に彼の唇が落とされる。
“このままでいさせて”だなんて、縋るように言われたらそれでも抜いてくれ
だなんて到底言えない。
私だって、零司さんと繋がっているのが嫌なわけではないのだから。
ただ、この激しい情欲の渦が苦しいだけで――――。

「ん……ぅ……」
「何もしなくても、やらしい声を出すんだな」
「……何もないって事は……ないです、よね?」
「そう?」
入っているというだけで乱される身体に涙が滲んだ。
「……シーツとか、掴んでないで俺を抱き締めてよ」
甘えるような声で彼は言う。

暴君のように言葉巧みに従わせるかと思えば、甘えたり縋ったりしてくる落差。
どちらの彼も堪らなく好きで、愛しいと思わされる。
「零司……さん」
彼の背中に腕を回し、その逞しい身体を包むように抱き締めると、零司さんは
深い溜息を吐いた。
「おまえの事は一生大事にするから」
「……っ、う、は……はい」
「ナカ、ひくんってなった」
くくっと彼は笑う。
そして額を私の額につけてくる。
「……花澄が愛しいよ」
「……は、い」
「凄く、好きだ」
「……す、きです……零司さんが好き」
「ああ……」
閉じていた瞳を、彼はゆっくりと開けて私を見つめた。
静かに輝く切れ長の瞳に映っているのは他の誰でもなく私だった。





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rit.〜りたるだんど〜の零司視点の物語

 

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