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rit. 〜りたるだんど3〜 STAGE.16

******


――――最初から。



俺に選ぶ道などなかった。
まっすぐにのびた一本の道しかそこにはなく、それなのにためらい、迷った。

一目惚れではなかったとは思う。
だけど、出逢ったときから心の方向は決まっていた。
ゆっくりと、彼女に引きよせられる。
抗えないと思うほどの強さではなかったから、引きよせられていく心を俺も無
理に引き留めようとはしなかった。

その惹かれように居心地の悪さはなかったけれど、俺が彼女を乱していいのか
という迷いはついてまわった。
自分がどんな女相手でも、すぐに駄目になると判っていたからだ。
俺が女を嫌いになるのではなく、相手が俺から離れたがった。

それを辛いだとか寂しいだとか、そんなふうに思ったことはない。

思わなかったという時点で俺が本気ではなかったということの証明ではあった。

だけど、本気って??

いつだって、それなりに俺は女を愛してきた筈だったのに。
終わってみるといつでも本気ではなかったのかと思わされた。

――――でも今は。
“終わり”なんて想像もしたくないし、させないというそんな強い意志が心の
中にはあった。

「零司……さん」
身体の下で花澄が小さく震えた。
繋がっている部分の熱さに俺は眉根を寄せる。

彼女の何もかもが、俺が望まずにはいられないもののような気がした。
引きよせられ方はゆっくりだったのに、一度重なり合ってしまえば抗えない強
さで俺の意識は彼女のもとに居たがった。
“離したくない”と思う気持ちより、“離れたくない”と思う気持ちの方が強
く、まるで駄々をこねる子供のようだ。

離れたくない、繋がっていたい。
別々の人間でいること自体が許せないぐらい俺は彼女を望んでいるから、彼女
と身体が繋がることで得られる安心感はとても大きなものだった。

……だからと言ってただ繋がっていられれば満足するわけでもない。

性的な快楽だって勿論欲しい。
欲しくないなんて嘘は言えない。

花澄にいやらしい言葉を言わせて興奮を煽っているのは確かだ。
羞恥に染まった赤い頬や耳朶を見るだけでも俺はどうしようもなく高まる。
もっともっと、彼女に言わせたいと思う気持ちも強くなる。
あの小さな身体が艶めかしく揺れるさまも見たいと思ってしまう。
時折俺を貪るような激しさを見せてくるから余計に。

こちらだってもう大概興奮に溺れているのに、彼女も俺の興奮を煽るように仕
向けてくる。

――――今だって、そうだ。

もっと自分で感じてくれだの、どうすれば零司さんは気持ち良くなれますか、
だの言ってくるものだから完全に頭に血が上る。
じゃあ、どんなふうに言っても、おまえは応じてくれるのか? と彼女を試す
ようなことをしたくもなる。


……結局。
セックスの始まりは繋がりたいと思う少年のように純真な心だったのに、始ま
ってしまえばそれこそ野獣のように彼女の身体を貪ってしまうのだから笑える。
酷いときは花澄が気を失うぐらいまで抱き続けた。


そして今日は“そういう日”だった。


眠る彼女の頬をそっと撫でる。
どうしようもないぐらいに花澄を支配したい。そう思うのと同時に俺も花澄に
支配されたいと思えた。

強くて激しい感情に、確かに振り回されているのに彼女が傍にいれば心は穏や
かだった。

不思議な恋愛をしている。

花澄の頬をしつこいぐらいに撫でながら、俺はそんなふうに感じていた。





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rit.〜りたるだんど〜零司視点の物語

執着する愛のひとつのカタチ

ドSな上司×わんこOL



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